気になる血糖値!おすすめの食べ物・飲み物をご紹介
食事が血糖値に与える影響
血糖値とは、血液中のブドウ糖(グルコース)の濃度のことです[1]。主にごはんやパン、果物、砂糖などの炭水化物が消化されると、ブトウ糖に変換されて腸で吸収されて血管内に入ります。すると、血糖値が上昇します。血糖値が上がっても、健康な人の場合、膵臓から分泌されるインスリンというホルモンによってコントロールされ、血糖値はもとの値に戻ります。しかし、インスリンの分泌が不十分だったり、インスリンの働き自体が悪くなっていたりすると、血糖値を上手く下げることができず、血糖値が高くなったままになることがあります。
食事は血糖値に大きな影響を与えますが、運動不足やストレスも関与しています。
血糖値を上昇させやすい食べ物
血糖値を上昇させやすいのは、ごはんやパン、麺類、果物、砂糖などに代表される炭水化物や脂肪分が多い肉類などです。
しかし、血糖を気にして炭水化物を避けることは健康にとって望ましくありません。炭水化物は身体の主要なエネルギー源であり、適切な量を摂ることが重要です[2]。
飲み過ぎ食べ過ぎに注意したい食べ物
炭水化物は、「糖質」と「食物繊維」を合わせたものです。糖質はエネルギー源になりますが、食物繊維は消化酵素で分解されず、ほとんどエネルギーになりません。また、食物繊維は急激な血糖値の上昇を抑える作用があるといわれています。
さらに糖質は、「糖類(ブドウ糖・果糖・ショ糖など)」と「糖類以外(多糖類、糖アルコールなど)」に分けられます。
ごはんやイモ類に多く含まれる糖質はでんぷんで、いくつもの糖類がつながっている多糖類です。消化吸収に時間がかかるため、血糖値の上昇が緩やかです。
対して、砂糖の主成分であるショ糖は、ブドウ糖と果糖が結合した二糖類です。でんぷんよりも消化吸収がはやく、血糖値がすばやく上昇します。
果物に含まれる果糖は、ブドウ糖ではないため、血糖値の上昇には直接にはかかわりがありません。ただし、過剰に摂ると中性脂肪に合成されるため、注意が必要です[2,3]。
菓子パンやお菓子
市販の菓子パンやお菓子は、小麦粉や生クリーム、粉砂糖などが多く使われているため、糖質の摂取量が多くなります。また、血糖値を上げやすいショ糖を多く含みます。週末のご褒美や時々の楽しみなどに限定しましょう。
糖分入りの飲み物
清涼飲料水には、主にブドウ糖を中心とした糖質が多く含まれています[4]。ブドウ糖はすばやく体内に吸収されるため、血糖値の急上昇に注意しましょう。以下は、一部の飲み物に含まれる糖分の例です。
・清涼飲料水:一般的な清涼飲料水には、糖質が多く含まれています。例えば、500mlの清涼飲料水には約60gの糖質が含まれ、これはスティックシュガー(3g)の約20本分に相当します。
・微糖コーヒー:微糖コーヒーにも糖質が含まれています。例えば、約190gの缶コーヒーには約6gの糖質が含まれ、これはスティックシュガー(3g)の約2本分に相当します。
・スポーツドリンク:スポーツドリンクも、一般的に多くの糖質を含んでいます。500mlのスポーツドリンクには、約30gの糖質が含まれます。ステックシュガー(3g)では約10本分に相当します。
血糖値の上昇速度も意識
食べ物を摂取したとき、どれくらいの速度で血糖値が上昇するかを数値化したものをGI(グリセミック・インデックス)といいます。
ブトウ糖を摂取したときを100とし、この数値に近いほど上昇速度が速く、低いほど速度が緩やかなことを意味します。
GI値の高い食べ物は消化スピードが速いため、血糖値が急激に上昇しますが、GI値の低い食べ物は消化スピードが遅いため、血糖値の上昇が緩やかになります[5]。
例)
・高 GI:上⽩糖,⾷パン,チョコレート,精⽩⽶
・低 GI:⽞⽶,⾖腐、ヨーグルト
血糖値をコントロールするための3つのポイント
血糖値の急上昇を避けるためには、糖質や高GI値の食べ物の摂取量を見直したり、いっぺんに過剰に摂取したりしないことがポイントです。同時に、食物繊維、たんぱく質、脂質などを上手に組み合わせるのも効果があります。
1.食物繊維が多い食べ物を取り入れる
食物繊維は消化吸収されずに大腸まで届く成分で、「水溶性」と「不溶性」の2種類に分けられます。水溶性食物繊維は水に溶けると粘性を増してゲル状となり、糖質の吸収を緩やかにする効果があります。不溶性食物繊維は、よく噛んで食べることで早食いの防止につながり、食後の血糖上昇を抑えてくれます[6]。
1日の摂取目標量:30歳〜49歳 男性 21g以上 /女性 18g以上[2]
2.たんぱく質をしっかり摂取する
たんぱく質は、筋肉の主要な構成要素です。体を動かす際、筋肉はブドウ糖を消費するため、たんぱく質が不足すると、筋肉の減少に伴いブドウ糖の消費量も減少し、血糖値の上昇リスクが高まります。さらに、筋肉は余分なブドウ糖を貯蔵する機能も持っており、筋肉が減少するとブドウ糖を十分に貯蔵できず、血糖値が上昇しやすくなります[1]。肉、魚、豆類、大豆製品など、様々な食べ物からバランスよくたんぱく質を摂取しましょう。
1日の摂取推奨量:30歳〜49歳 男性 65g /女性 50g[2]
3.脂質の種類を選ぶ
脂質はカロリーが高いため、避けがちですが、消化が遅く、血糖値の上昇を緩やかにさせる効果があります。ただし、質と量を意識して上手に摂取することが重要です。特に青魚の脂質には体内でほとんど合成できない「必須脂肪酸」が含まれているので、積極的に摂取することがおすすめです[2]。
一方、肉類、卵、乳製品の脂質は、悪玉(LDL)コレステロールを増加させる飽和脂肪酸が多く含まれているため、控えめに摂ることが良いでしょう。
1日の摂取目標量:30歳〜49歳 身体活動レベルふつう
男女:1日のエネルギー量の20~30%(男性:約60~90g/女性:約46~68g)[2]
※1日に必要なエネルギー量は性別・年齢・身体活動レベルによって異なります。
血糖値管理に、おすすめの食べ物・飲み物
ここでは、手軽に取り入れられる血糖値の管理に役立つ食べ物と飲み物をご紹介します。
・玄米
玄米は白米に比べてビタミン、ミネラル、食物繊維が多く含まれており、白米に混ぜることで食事の栄養価を向上させることができます。歯ごたえがあるため、よく噛むことで満腹感を得られ、食べ過ぎを防いでくれます。なお、玄米は消化が悪いので、高齢の方、お子様、胃腸が弱い方にはあまり向きません。消化の面で考えると、小粒の雑穀(あわやひえなど)を白米に混ぜることも1つの方法です。
<玄米・精白米の栄養素比較(100gあたり)[7]>
食物繊維(g) | ビタミンB1(mg) | ビタミンB2(mg) | マグネシウム(mg) | カリウム(mg) | |
玄米 | 3.0 | 0.41 | 0.04 | 110 | 230 |
白米 | 0.5 | 0.08 | 0.02 | 23 | 39 |
・全粒粉パン
全粒粉パンは、通常の精製小麦を使用したパンと比べて、食物繊維を含みながら、ビタミンやミネラルも豊富に含まれています。これは、小麦の胚芽と皮を含む全ての部分を挽いて作られているためです。
<全粒粉パン・食パンの栄養素比較(100gあたり)[7]>
たんぱく質(g) | 脂質(g) | |
まぐろ類・缶詰・水煮・フレーク・ライト | 16.0 | 0.7 |
まぐろ類・缶詰・油漬・フレーク・ライト | 17.7 | 21.7 |
・大豆
大豆には、食物繊維が豊富に含まれています。ゆでた大豆には、100gあたり6.1gの食物繊維を含むゴボウよりも、さらに多い8.5gの食物繊維が含まれています。
<大豆の栄養素(100gあたり)[7]>
たんぱく質(g) | 食物繊維(g) | |
黄大豆・国産・ゆで | 14.8 | 8.5 |
・海藻(昆布・わかめなど)
わかめや昆布などのネバネバしている食材は、水溶性食物繊維を多く含む食材として知られています。水溶性食物繊維は、胃腸内で粘着性を持ち、消化・吸収がゆっくりと進むため、糖質の吸収を緩やかにする働きがあります。
<昆布・わかめの栄養素(100gあたり)[7]>
食物繊維(g) | |
刻み昆布 | 39.1 |
カットわかめ | 39.2 |
・切り干し大根
切り干し大根は不溶性の食物繊維を多く含み、咀しゃく回数を増やしやすい食べ物です。副菜として取り入れると、満足感のある一品となります。
<切り干し大根の栄養素(100gあたり)[7]>
食物繊維(g) | |
切り干し大根・乾 | 21.3 |
・オリーブオイル
オレイン酸を多く含むため、比較的酸化しにくく、加熱にも適しています。
・飲み物
食後の血糖値の急上昇を抑えるためには、無糖のお茶やミネラルウォーターにしましょう。
例)水、麦茶、ストレートの紅茶、ブラックコーヒーなど
<ワンポイントアドバイス・おすすめの1皿>
ランチではノンオイルドレッシングの野菜サラダよりも、オイルドレッシングの大豆やツナ入りのサラダを選びましょう。野菜の食物繊維と大豆やツナのたんぱく質、脂質の組み合わせで、消化が緩やかになり、血糖値の急上昇も抑えられます。ただし、ドレッシングの使用量には注意しましょう。過剰な摂取は肥満のリスクを高めます。
まとめ
血糖値変動を抑えるには、食べ物や飲み物の選択と食事のバランスが重要です。玄米、雑穀、魚、大豆製品、野菜、海藻など、さまざまな食べ物を食事に取り入れ、食物繊維や良質なたんぱく質、脂質をバランスよく摂ることが大切です。無理な制限はせず、食事の質とタイミングに意識を向けましょう。