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お酒の飲み過ぎは要注意!糖尿病のリスクについて知っておこう
お酒を飲み過ぎるとどうなる? お酒を飲むと、アルコールは2割が胃で、残りは小腸で吸収され、肝臓に運ばれます。アルコールは肝臓で分解され、「アセトアルデヒド」という物質になります[2]。 一般的に、顔が赤くなったり、頭痛や吐き気といった二日酔いの症状は、このアセトアルデヒドが肝臓で十分に処理しきれず、体内に蓄積されたものと言われています。しかし、実際には、二日酔いの症状があってもアセトアルデヒドが検出されることが稀であり、体質によっては、アセトアルデヒドの血中濃度が低くても、二日酔いの症状が出ることがわかっています。 また、アルコールの刺激によって胃が荒れたり、利尿作用によって脱水症状が引き起こされたりすることなども、二日酔いの不快な症状を引き起こす要因とされています。 このように、二日酔いの症状の原因は、はっきりせず、さまざまな要因が絡み合って起こると考えられますが飲み過ぎると症状が出やすくなるため、過度の飲酒には注意が必要です[3]。 糖尿病とアルコールの関係性は? アルコールを過剰に摂取すると、二日酔いの原因になるだけではありません。肥満や糖尿病の原因となります。アルコールを分解する際、肝臓で中性脂肪の合成が促進されるため、お酒の飲み過ぎによって、内臓に脂肪が蓄積されやすくなります。また、その蓄積した脂肪の影響や膵臓からのインスリン分泌が抑えられることで、血糖値の上昇を引き起こすことがあります。これにより、インスリンの働きを妨げるインスリン抵抗性が進行し、糖尿病のリスクが高まります[4,5]。 糖尿病が進行すると、全身の細い血管や神経に障害が生じ、以下の「三大合併症」が発症することがあります[6]。 <糖尿病の三大合併症> ● 糖尿病網膜症 高血糖によって眼の網膜の細い血管が傷む合併症で、進行すると失明に至る可能性があります。初期には自覚症状がないため、年に1回以上の眼底検査が推奨されます。 ● 糖尿病腎症 高血糖が腎臓の細い血管をむしばみ、進行すると腎臓の機能が低下していきます。最終的には身体の余分な水分や老廃物を尿として排泄できなくなり、透析治療が必要になることがあります。 ● 糖尿病神経障害 高血糖によって全身の細い血管が傷ついたり、神経線維の変性により手足の神経に異常が生じ、痛みやしびれなどの感覚異常が現れる合併症です。進行すると、足潰瘍や足壊疽を引き起こすことがあります。 お酒の“適量”ってどのくらい? 2024(令和6)年から実施された厚生労働省が推進する国民健康づくり運動「健康日本 21(第三次)」では、生活習慣病のリスクを高める量(1日当たりの純アルコール摂取量が男性 40g以上、女性 20g以上)を飲酒している者の割合を減らすことを目標としています。 そのため、お酒の量(ml)だけでなく、お酒に含まれる純アルコール量(g)に注目することが重要です。 純アルコール約20gに相当するお酒の量は、以下の通りです[7,8]。 <純アルコール約20gに相当する酒量> 種類アルコール度数量 ビール5%中瓶(500ml) 日本酒15%1合(180ml) ワイン(赤)14%180ml 焼酎25%110ml ウィスキー43%60ml ※飲酒量は性別、年齢、体質による個人差があるため、これらの量は個々人の許容量を示したものではありません。「飲酒量(純アルコール量)が少ないほど、飲酒によるリスクが少なくなる」という報告もあります。 ※上記は一般的な目安量です。実際、飲まれる商品のアルコール度数(%)やサイズをご確認ください。 <「カロリーゼロ」・「糖質ゼロ」は「ゼロ」ではない!?ゼロ飲料の飲み過ぎに注意!> ビールや発泡酒などに「カロリーゼロ」・「糖質ゼロ」と表示されていても、カロリーや糖質は「ゼロ」ではないことをご存知でしょうか。食品表示基準に基づき、飲料で100mlあたり、熱量5kcal未満、糖質0.5g未満であれば「カロリー・糖質ゼロ」と表示できます。くれぐれも「ゼロ」と表記されているからといって、飲み過ぎには注意しましょう[9]。 また、一般的なお酒には以下の糖質量が含まれています。ビールや日本酒は多い一方で、焼酎やウイスキーなどの蒸留酒は少ない傾向にあります[10]。飲酒の際は参考にしてみてください。 <純アルコール約20gに相当する各お酒による糖質量> 種類量カロリー糖質量 ビール中瓶(500ml)195kcal15.5g 日本酒1合(180ml)184kcal6.7g ワイン(赤)180ml122kcal1.8g 焼酎110ml158kcal0g ウィスキー60ml140kcal0g 【参考】文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」 ※ビールは淡色/日本酒は清酒(純米酒)/焼酎は単式蒸留しょうちゅう/ワインはぶどう酒(赤)を基に、いずれも差し引き法による利用可能炭水化物量にて算出 お酒の飲み過ぎを防ぐ工夫は? ここで、お酒の飲み過ぎを防ぐ方法をいくつかご紹介します[8]。 ● 空腹の状態は避ける 空腹時にお酒を飲むと、アルコールの刺激によって胃酸が多く分泌され、胃や腸の粘膜を痛める原因に。また、アルコールの吸収スピードが早まり、酔いが回りやすくなります。アルコールを摂取する際は、食事を取りながら空腹状態を避けるようにしましょう。 ● 水分を摂る お酒を飲むと利尿作用によって脱水症状になりやすくなります。お酒を飲む際は、水も併せて摂ることで飲酒量を調整し、脱水症状を防ぎましょう。 ● 強いお酒は薄めて飲む 焼酎やウイスキーなどアルコール度数の高いお酒は、胃腸への刺激が強く、酔いが回りやすくなります。これが肝臓への負担を増す原因にもなります。水やソーダで薄めて、ゆっくりと楽しむことが大切です。 ● 一口飲むたびにコップをテーブルに置く お酒を手に持ち続けていると、ついつい飲み過ぎてしまう原因に。一口飲むごとにコップをテーブルに置くことで、自然と飲むペースを抑えることができます。 ● 周囲の人に「お酒を飲めない」ことを事前に伝えておく お酒を控えている人や飲めない体質の人は、事前に周囲の人にそのことを伝えておくと、無理な勧めを避けられます。自分のペースで飲むことができ、健康管理に役立ちます。 <休肝日を設けることも忘れずに> お酒を飲んだ後、肝臓は休みなく働いています。毎日連続して飲酒すると、肝臓に障害が出る可能性があります。週に2日は休肝日を設け、肝臓を休ませましょう。難しい場合は週1日でも設けるように心掛けましょう。 健康管理におすすめのおつまみリスト お酒を飲む際は、おつまみの内容にも気をつけましょう。アルコールには、食欲増進作用があるため、おつまみを食べ過ぎてしまうことがあります。これがカロリー、脂質、塩分の摂取量増加につながり、糖尿病や脂質異常症、高血圧などのリスクを高めることがあります。お酒を楽しむ際には、以下のようなおつまみを選び、身体をいたわりながら飲むことをおすすめします[11]。 ●野菜・海藻類 野菜や海藻類には、食物繊維が含まれ、急激な血糖値の上昇を抑えるのに役立ちます。飲み始めにサラダや刺身のツマを食べると良いでしょう。ただし、ドレッシングや調味料が多い料理は、脂質や塩分の摂り過ぎにつながるので注意が必要です。 例)野菜・海藻サラダ、野菜スティック、キャベツ、枝豆、もずくなど ● タンパク質がメインの料理 肉や魚、大豆製品などのタンパク源は、アルコールによって負担がかかった肝臓を修復する助けになったり、アルコール分解を助ける酵素の材料となります。タンパク質を摂取することで、肝臓の代謝機能をサポートすることが期待できます。 例)刺身、豚しゃぶ、冷奴、焼き鳥(塩)、卵焼き、枝豆、生ハムサラダ、魚の塩焼きなど ●ビタミンB1を含む料理 アルコールを分解・代謝する際に、大量のビタミンB1が消費されます。飲酒する際は、積極的にビタミンB1を含むものを摂りましょう。豚肉や枝豆はタンパク質を摂りながら、ビタミンB1も摂れるのでおすすめです。 例)豚しゃぶ、冷奴、焼き鳥(レバー)、枝豆、など 逆に、脂質が多いおつまみは避けるようにしましょう。 <避けたいおつまみ> 唐揚げ、天ぷら、ポテトサラダ、マカロニサラダなど 定期的に健康診断も受けよう! 肝臓は沈黙の臓器と言われ、肝臓に障害が起こっても自覚症状がなく、気づいたときには進行している可能性があります。糖尿病も同様に、進行してから気づくことが多い病とされています。病気を予防するには節酒に努めるだけでなく、健康状態を正しく把握するために定期的な健康診断を受けることも重要です。肝機能をはじめ、糖尿病の指標となる空腹時血糖値やヘモグロビンA1c(HbA1c)※などを確認することで早期予防・発見・治療につなげていきましょう。 ※赤血球中のヘモグロビンが糖と結合している割合を示す値で、過去1~2ヶ月の血糖値の平均値を反映しています。
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糖尿病の方も安心!コンビニ食の上手な活用方法を管理栄養士が解説
コンビニ食の注意点 まずはコンビニ食の特徴を理解しましょう。理解しておくことで、コンビニ食を上手に活用するヒントが見つかりますよ。 1. 主食の量が多い 一般的な弁当のごはんの量は約250g、普通茶碗1.5杯相当です。そのため、お弁当のごはんを食べきることでカロリーや糖質オーバーにつながり、血糖値の急上昇や体重増加のおそれも。 ごはんを1/3程度残して次の食事に取っておいたり、ひとまわり小さいサイズのお弁当にしたりするなどで対策してみましょう。(※1) 2. 塩分が高い コンビニ弁当の食塩相当量は、3~4g。日本人の食事摂取基準(2020年版)では、目標とする一日の食塩相当量は男性7.5g未満、女性6.5g未満です。また、高血圧症のある方は一日6.0g未満が目標とされていますよ。 このことからも、コンビニ弁当の塩分の高さがうかがえますね。塩分の摂り過ぎは高血圧症のリスクが高まるだけでなく、食欲増進作用があると考えられているため、塩分摂取量には気をつけたいですね。(※1,2,3,4) 3. 脂質が高い コンビニ弁当は肉や揚げ物類が多いのも、選びにくい理由のひとつです。一般的に、肉類や揚げ物の弁当は脂質が高いです。カロリーも高くなりやすいため、カロリーオーバーにつながり、肥満を引き起こすおそれも。 肥満や高脂肪食は、インスリン(血糖値を下げるホルモン)が効きにくくなる要因にもなるため、脂質の摂取量にも気をつけたいところですね。(※4,5) 4. 食物繊維やたんぱく質が不足しやすい 唐揚げ弁当やハンバーグ弁当など、メインとごはんが中心の種類は、食物繊維が不足しやすいです。食物繊維の不足は、血糖値の急上昇につながることもあります。 また、パンだけ・ごはんだけといった主食の単品食べも、食物繊維やたんぱく質が不足しやすいので、単品食べは避けましょう。(※4,6) 「組み合わせ方式」がおすすめ! コンビニの特徴が分かったところで、どうしたら血糖値の急上昇や体重増加を抑えられるのかが気になりますよね。コンビニ食を利用するときのポイントを、理由とともに解説していきます。 1. 主食+主菜+副菜を基本に 血糖値の良好なコントロールには、「主食+主菜+副菜」が大切です。このバランスが整うと、食べたものを効率的に体や脳を動かすエネルギーに変えたり、満足感を得つつカロリーや糖質が抑えられたりなどが期待できます。 しかし、弁当単品でバランスを整えるのは難しいため、単品の総菜を組み合わせる方法がおすすめですよ。(※7) 2. 付属の調味料は全部かけない 塩分の摂り過ぎ防止のためにも、付属の調味料は全部かけないようにしましょう。塩分の摂り過ぎは、高血圧症のリスクが高まるだけでなく、食欲が増してしまうおそれもあるためです。 一般的な醤油小袋1個分の塩分は、0.7g程度のため、付属の調味量をかけない・少量にするだけでも、塩分摂取量が減らせますよ。(※1,3) 3. 食べかたも意識する 食べかたも、良好な血糖値を維持する方法のひとつです。野菜やたんぱく質から先に食べる、という「食べる順番」を意識すると、血糖値の急上昇が抑制できることがわかっています。 さらによく噛んで、ゆっくり食べると血糖値の上昇が緩やかになりやすいだけでなく、満足感も高まるため、食べ過ぎ防止にもつながりますよ。これらは、今すぐできる方法なので、ぜひ意識してみてくださいね。(※7,8) 組み合わせ例6選 コンビニの総菜を組み合わせて利用するメリットがわかりましたが、いざ実践となると何を選んでよいかわからないですよね。そこで、コンビニでの組み合わせ例を6つ紹介します。ここから自分なりにアレンジしていくのもおすすめですよ。 おにぎり/生野菜サラダ/ゆで卵 【栄養価】 カロリー 295kcal たんぱく質 10.9g 脂質 9.6g 糖質 48.6g 食物繊維 2.6g 食塩相当量 0.9g おにぎり1個だと物足りなさを感じやすいですが、野菜やたんぱく質と合わせることで、満足感を高めつつカロリーや糖質も抑えられます。生野菜やゆで卵を使うと、噛み応えが生まれ、自然と噛む回数が増えます。噛む回数を増やすと満足感が高まり、食欲が抑まりやすいでしょう。 さらに、サラダやゆで卵を先に食べると、血糖値の急上昇の防止につながりますよ。(※7,8) ミックスサンド/ギリシャヨーグルト/ミネストローネ 【栄養価】 カロリー 415kcal たんぱく質 23g 脂質 17.9g 糖質 38.0g 食物繊維 3.6g 食塩相当量 2.4g パンを食べたいときに、おすすめの組み合わせです。あんぱんやチョコパンなどの菓子パン類は、カロリーや糖質が高いので、血糖値の急上昇を引き起こしやすい種類です。野菜やたんぱく質が含まれているミックスサンドを選択した方が、食物繊維やたんぱく質、糖の代謝にかかわるビタミンなどが摂りやすいですよ。 さらに、ミネストローネといった具沢山の汁物を付けると、バランスがより整いやすくなるでしょう。ギリシャヨーグルトは、たんぱく質が摂りやすい食べ物のひとつです。カルシウムが摂れるのもよいですね。インスリンの作用が不足すると、骨の代謝異常が起き、骨がもろくなりやすいこともあるので、カルシウムの補給もぜひ意識してくださいね。(※7,9,10)。 もち麦入りパックご飯/照り焼きチキン/海藻サラダ 【栄養価】 炭水化物 478kcal たんぱく質 26.6g 脂質 16.2g 糖質 47.5g 食物繊維 5.3g 食塩相当量 3.9g もち麦や玄米などの「全粒粉穀類」は、白米よりもビタミンB群やミネラルが豊富です。さらに、インスリン(血糖値を下げるホルモン)の生成にかかわるマンガンも白米より多い傾向のため、血糖値が気になるひとは、全粒粉穀類を取り入れてみてはいかがでしょうか? さらに、鶏肉でたんぱく質を補給するとともに、海藻類やもち麦に含まれる水溶性食物繊維によって、血糖値の上昇を穏やかにしたり脂質の排出を促したりする作用が期待できますよ。 (※11,12,13,14) 冷やしうどん/卯の花/パックめかぶ 【栄養価】 カロリー 616kcal たんぱく質 13.8g 脂質 18.2g 糖質 95.3g 食物繊維 8.3g 食塩相当量 3.9g 麺類は野菜やたんぱく質が不足しがち。そのため、別でたんぱく質や食物繊維を足せるとよいですね。卯の花の主な材料であるおからは、たんぱく質だけでなく食物繊維も豊富です。 また、めかぶは糖や脂質の吸収を抑える水溶性食物繊維が多く含まれていますよ。(※14,15,16) カップ麺/ゆで卵/スティック野菜 【栄養価】 カロリー 619kcal たんぱく質 18.4g 脂質 34.6g 糖質 55.8g 食物繊維 5.9g 食塩相当量 7.9g(汁を残すと4.9g) カップラーメンは高塩分・高脂質なだけでなく、ビタミンやミネラルが不足しやすい食品です。そのため。カップラーメン単体ではエネルギー代謝が上手くいかずに、血糖値の急上昇や、脂肪が溜まりやすくなるおそれも。 食べるときは、たんぱく質と食物繊維を足すように意識したいですね。また、カップラーメンの塩分は約6gと、高塩分であるのも気をつけたいところです。汁を残すことで、1/2~1/3の減塩になりますよ。(※16,17) 幕の内弁当/無塩のトマトジュース 【栄養価】 カロリー 647kcal たんぱく質 25.1g 脂質 10.0g 糖質 106.1g 食物繊維 13.8gg 食塩相当量 4.5g 組み合わせるのが大変なときに。幕の内弁当は、さまざまな食材が入っているので、バランスが整いやすい弁当のひとつです。 そんな幕の内弁当に手軽に合わせるのが、無塩のトマトジュースです。トマトジュースに含まれるリコピンが、血糖コントロールに役立つと考えられているためです。食前30分前にトマトジュースを飲むことで、血糖値の上昇が抑制される研究結果もありますよ。塩分の摂り過ぎ防止のためにも、必ず「無塩」のトマトジュースにしてくださいね。(※18) コンビニ食でも血糖値のコントロールはできる 自炊が難しい方や、忙しいときにコンビニは便利ですよね。しかし、種類によっては主食が多かったり、カロリーや塩分が高かったりなど、良好な血糖値のコントロールの妨げになるおそれも。 満足感を得ながら血糖値の良好なコントロールをかなえるには「組み合わせ方式」がおすすめです。主食+主菜+副菜を意識することで、いままで食べるのを我慢していたメニューも、楽しめるかもしれませんよ。 さらに、食べる順番や時間もぜひ意識してみてくださいね。オリジナルの組み合わせを楽しみながら、血糖値を良好にコントロールしていきましょう。
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糖尿病でもおやつが食べたい!管理栄養士推奨のおやつとレシピを紹介
糖尿病でもおやつは食べられる 糖尿病は食事療法が必要ですが、バランスの取れた食事をすれば、食べてはいけないものはありません。つまり、おやつも食べてよいのです。ただし、おやつは1日の目安量が決まっており、食べ過ぎると糖質や脂質が多くなりすぎるため、食事療法の効果が薄れてしまいます。 おやつの量は20単位の場合2単位を目安に 食品交換表では、20単位(1600kcal)の場合、おやつは2単位(160kcal)となっています。(※1)2単位以内であれば、基本的にどんなおやつを食べても構いません。 ただし、2単位はあくまでも20単位を指示されている人の場合です。人それぞれ指示単位が異なるため、必ずかかりつけ医や管理栄養士に相談し、おやつの量を決めましょう。 糖尿病の方におすすめの市販のおやつ 食事指導では果物や乳製品を中心に、体にいいものをおやつとして食べることを勧められます。しかし、毎日ストイックに体にいいものだけを食べ続けるのも難しいでしょう。たまには市販のおやつも取り入れて、気分をリフレッシュすることも大切です。 ここでは、2単位分(160kcal)のおやつを食べられると仮定して、おすすめの市販のおやつを紹介します。実際に購入する際はパッケージの成分表示を確認し、2単位におさまるかどうかチェックしてくださ おすすめの甘いおやつ おすすめの甘い市販のおやつは以下の通りです。 ・ヨーグルト ・寒天ゼリー ・プリン ・低糖質スイーツ(ロカボマークがあるもの) ・プロテインバー ・カットフルーツ など ヨーグルトを食べるのであれば、たんぱく質も取れるギリシャヨーグルトタイプもおすすめです。寒天ゼリーは0kcalのものも販売されており、罪悪感なくおやつを食べたいときにぴったり。 プリンは大きいものだと2単位を超えやすいので、小さめのものか低糖質タイプがよいでしょう。プリン以外にも低糖質スイーツが販売されていますので、本格的な甘いおやつが食べたくなったときは、ロカボマークのある商品を手に取ってみてください。 プロテインバーもたんぱく質を取りつつ、おやつとして楽しめます。商品によってカロリーが異なるため、必ずパッケージの成分表示をチェックしましょう。 カットフルーツも手軽に食べられる健康的なおやつです。スーパーだけでなくコンビニでも取り扱いがあります。 果物の食べ過ぎには要注意! 果物はビタミンや食物繊維など、体にいい栄養素を含む健康的なおやつです。しかし、果物は糖質(フルクトース)が多いため、体にいいからといって食べ過ぎると血糖値上昇の原因となります。ドライフルーツも同様に糖質が多いため、食べ過ぎは禁物です。 おすすめのしょっぱいおやつ 甘いおやつだけでなく、しょっぱいおやつも食べたくなるはずです。ここでは健康的なしょっぱいおやつを紹介します。 ・チーズ ・ナッツ ・酢昆布や茎わかめ ・ゆで卵 など チーズはカルシウムが補給できる、イチオシのおやつです。ベビーチーズだけでなく、割けるタイプのモッツァレラチーズもおやつにおすすめ。 ナッツはミネラル補給にぴったりなおやつです。できれば無塩タイプを選びましょう。酢昆布や茎わかめなど、海藻系のおやつも手軽かつ健康的なので、ぜひ取り入れてみてください。たんぱく質を補給し、小腹を満たすなら、ゆで卵という選択肢もあります。 塩分の摂りすぎに注意! 糖尿病は塩分制限を伴うことも多く、しょっぱい系のおやつを食べ過ぎると塩分過多になる可能性があります。スナック菓子やせんべい、珍味系は特に塩分が多いため、なるべく控えましょう。 おやつを手作りする際の注意点とおすすめレシピ 手作りおやつは余計な添加物を避けたり、甘味料を調整できたりとさまざまなメリットがあります。しかし、メニューによってはバターや砂糖、生クリームをたっぷり使うものもあるため、レシピをよく確認しましょう。 できれば、乳製品や果物を利用したヘルシーな手作りおやつがおすすめです。豆腐や豆乳、おからなど低カロリーの材料を使うと、食べごたえはありつつ、ヘルシーなおやつが作れます。また、砂糖を使用せず低糖質甘味料を利用すると、作れるおやつの幅が広がります。 ここからは2単位以内のヘルシーな手作りおやつのレシピを2つ紹介します。 水切りヨーグルトでヘルシーティラミス ティラミスはマスカルポーネチーズや生クリームを使用しますが、カロリーが高くなるので、水切りヨーグルトで代用しましょう。その際に出た水分(ホエー)は捨てずに、味噌汁やドリンクに使ってくださいね。 材料(2人分) プレーンヨーグルト:250g 低糖質甘味料(ここではラカントS):大さじ2 インスタントコーヒー:小さじ1 お湯:50ml ビスケット:6枚 ココア:適量 作り方 -下準備- ・キッチンペーパーやふきんを敷いたザルの上に、プレーンヨーグルトを乗せてラップをかけ、冷蔵庫で一晩待つ。時間がないときはヨーグルトの上にキッチンペーパーを敷き、ヨーグルトの倍程度の重りを乗せ、冷蔵庫で20~30分置く。(重りはキッチン用ポリ袋に入れた水でもOK) 1.水切りヨーグルトに低糖質甘味料を加え、泡立て器でしっかり混ぜる。 2.ビスケットを軽く砕き、お湯で溶いたインスタントコーヒーをかける。 3.グラスにビスケット、水切りヨーグルトの順に交互に入れる。(2回くらい) 4.仕上げにココアを茶こしでふりかける。 栄養価(1人分) エネルギー:140kcal たんぱく質:6.0g 脂質:5.5g 糖質:31.2g 食物繊維:0.6g 塩分相当量:0.2g 豆乳黒ごまプリン プリンは牛乳や生クリームを使うことも多いのですが、今回はよりヘルシーに作れるよう、豆乳を使用します。豆乳は砂糖が入っていない無調整豆乳を使用しましょう。豆乳を沸騰させると分離し、ゼラチンも固まらなくなるので、必ず沸騰させないよう注意してください。 材料(2人分) 無調整豆乳:300ml 黒ごま(すりごま):大さじ2 低糖質甘味料(ラカントS):大さじ1.5 ゼラチン:2.5g 作り方 1.鍋に豆乳を入れて弱火にかけ、ふつふつとしてきたら火を止める。 2.黒ごま、甘味料、ゼラチンを加え、溶け残りがないようよく混ぜる。 3.粗熱が取れたらグラスに入れ、ラップをかけて冷蔵庫で冷やし固める。 栄養価(1人分) エネルギー:109kcal たんぱく質:6.7g 脂質:7.4g 糖質:13.3g 食物繊維:1.5g 塩分相当量:0.0g まとめ 糖尿病の方もおやつを我慢する必要はありませんが、食べる量には注意が必要です。人によって指示されている食事の単位が異なりますので、必ずかかりつけ医や管理栄養士とご相談ください。 おやつは人の心をリラックスさせる、大切なものです。上手におやつを選んで、糖尿病とゆるやかに付き合っていきましょう。
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高カカオチョコレートの健康効果って?糖尿病の人が食べるときに気を付けたいポイントもご紹介
そもそもチョコレートって、どんな食品? チョコレートは、カカオ豆を固形化した食品です。発酵・乾燥させたカカオ豆を砕いて皮を取り除き、炒ってペースト状にしたものに、ココアバターやミルク、砂糖を加えて作ります。50g(1枚)の板チョコには、約30粒のカカオ豆が使用されていると言われています。 高カカオチョコレートって? 高カカオチョコレートの明確な定義はありませんが、通常はカカオ含有率が60%から70%以上のものを指します。一般的に、カカオ含有率が高いほど砂糖や乳製品の割合が少なくなり、苦味が強くなる傾向があります。一方で、近年の技術進歩により、苦味が少ない高カカオチョコレートも増えています。 <チョコレートの種類> カカオの含有率 ミルクチョコ20~40%程度 ビターやブラックチョコ40~60%程度 高カカオ(ハイカカオ)チョコ60~70%以上 カカオポリフェノールについて 高カカオチョコレートで注目される成分は、「カカオポリフェノール」です。ポリフェノールは多くの植物に含まれる苦味や色素成分で、強い抗酸化作用を持ち、体内の活性酸素を除去する働きがあります。特にチョコレートの原料であるカカオ豆には、豊富に含まれており、その量は植物性食品の中でもトップクラスです。高カカオチョコレートには100g中に840mg含まれています(注1,2)。 <ポリフェノール量:100gあたり> ・ダークチョコレート:840mg ・りんご:220mg ・赤ワイン:180mg ・コーヒー:89.5mg 【引用】Scalbert A and Williamson G. J Nutr 130:20735-85S,2000.より抜粋 ポリフェノールの期待できる効果 多くの研究が示すところによれば、カカオポリフェノールにはヒトの健康に良い影響を与える可能性があります。これまでの研究から、カカオポリフェノールが強い抗酸化作用を持ち、血管機能やアレルギー、ストレスなどに関連するさまざまなプラスの効果をもたらす可能性が示唆されています。 高カカオチョコレートに記載されている低GI値って? GIとは食後の血糖値の上昇速度を示す指標で、Glycemic Index(グリセミック・インデックス)の略です。食べ物を摂取すると、糖分が血液に取り込まれ、血糖値が上がりますが、その上がり方は食品によって異なります。GI値が低い食品ほど血糖値の上昇は緩やかで、逆にGI値が高い食品ほど上昇が急になります。血糖値の急激な上昇は、血管を傷つけ、動脈硬化を自覚症状のないまま進行させることがあります。その結果、狭心症や心筋梗塞、脳梗塞などのリスクにつながる可能性があり、注意が必要です。高GI食品の摂り過ぎを避け、日ごろから低GI食品を選ぶことが大切です(注3)。 一般的な食品のGI値の比較によると、高カカオチョコレートは比較的低い仲間に分類されています。実際、最近の高カカオチョコレートの中には、研究データに基づいて商品パッケージに「低GI値」と記載されているものもあるため、選ぶ際の参考にするのも良いでしょう。 <主な食品のGI値> 低GI値高GI値 穀類押し麦、スパゲティなど精白米、食パンなど 野菜葉物野菜、ブロッコリーなどじゃがいも、かぼちゃなど 果物りんご、いちごなどパイナップルなど 菓子等高カカオチョコレートなどおせんべい、ポテトチップスなど ※GI値は、文献によって異なる場合があります。 高カカオチョコレートのデメリット 高カカオチョコレートは、一般的なチョコレートよりもカロリーや脂質が高いとされています。健康に良いからといって大量に食べることは、おすすめできません。 厚生労働省と農林水産省が共同で策定した「食事バランスガイド」では、「菓子や嗜好食品は1日に200kcalを目安とする」としています。例えば、一般的な板チョコレート約36gは200 kcalに相当しますが、その日の食事内容や個人の体格、年齢によっても適量は異なるため、あくまでも目安として考えることが大切です(注4,5)。 糖尿病と高カカオチョコレート摂取の影響と注意点 糖尿病は、血液中のブドウ糖(グルコース)の濃度が高い「高血糖」の状態が続く病気です。通常、食事前の血糖値は約70~100㎎/dlで、これは膵臓から分泌されるホルモンであるインスリンが血糖を調節します。 しかし、糖尿病ではインスリンの不足やその作用の低下が原因で、血糖値の上昇を抑える機能(耐糖能)が低下し、高血糖が慢性的に続いてしまいます。特に甘いものは血糖値を急激に上昇させるため、注意が必要です。 高カカオチョコレートは、比較的糖質が控えめなうえ、低GI食品とされていますが、カロリーや脂質が高い傾向があります。少量を楽しむ場合でも、主治医や管理栄養士と相談しながら摂り入れることが推奨されます(注6,7)。 高カカオチョコレートを食べるときのおすすめのタイミングと食べ方 特に糖尿病の方は、高カカオチョコレートを含むおやつを食べる際には、次のポイントにも気をつけましょう(注8,9)。 ・午前中に食べる 朝から昼頃までは、心身が活性化してエネルギー消費が高まります。一方で、夜遅くに摂ると、そのエネルギーが脂肪として蓄積されやすく、太りやすくなります。 ・出かける前に食べる 食後、身体を動かすことで血液中のブドウ糖を筋肉で消費し、血糖値を下げる効果があります。食後1〜2時間以内に出かけるのが理想的です。 ・毎日食べない 毎日食べるのは避け、食べる場合でも空腹時には量が多くなりがちなので控えましょう。 ・他の人と一緒に食べる チョコレートを1人で食べるとついつい食べ過ぎてしまうことがあります。誰かと一緒に食べることで、コミュニケーションの場となり、食べ過ぎを防ぐことができます。 まとめ 高カカオチョコレートは、さまざまな健康効果が期待できますが、カロリーや脂質が高いため、食べ過ぎには注意が必要です。特に糖尿病の方は、主治医と相談しながら摂取することが大切です。また、カカオの割合によって味が異なるため、自分の好みに合ったものを見つけて楽しんでください。