糖尿病の方も安心!コンビニ食の上手な活用方法を管理栄養士が解説
コンビニ食の注意点
まずはコンビニ食の特徴を理解しましょう。理解しておくことで、コンビニ食を上手に活用するヒントが見つかりますよ。
1. 主食の量が多い
一般的な弁当のごはんの量は約250g、普通茶碗1.5杯相当です。そのため、お弁当のごはんを食べきることでカロリーや糖質オーバーにつながり、血糖値の急上昇や体重増加のおそれも。
ごはんを1/3程度残して次の食事に取っておいたり、ひとまわり小さいサイズのお弁当にしたりするなどで対策してみましょう。(※1)
2. 塩分が高い
コンビニ弁当の食塩相当量は、3~4g。日本人の食事摂取基準(2020年版)では、目標とする一日の食塩相当量は男性7.5g未満、女性6.5g未満です。また、高血圧症のある方は一日6.0g未満が目標とされていますよ。
このことからも、コンビニ弁当の塩分の高さがうかがえますね。塩分の摂り過ぎは高血圧症のリスクが高まるだけでなく、食欲増進作用があると考えられているため、塩分摂取量には気をつけたいですね。(※1,2,3,4)
3. 脂質が高い
コンビニ弁当は肉や揚げ物類が多いのも、選びにくい理由のひとつです。一般的に、肉類や揚げ物の弁当は脂質が高いです。カロリーも高くなりやすいため、カロリーオーバーにつながり、肥満を引き起こすおそれも。
肥満や高脂肪食は、インスリン(血糖値を下げるホルモン)が効きにくくなる要因にもなるため、脂質の摂取量にも気をつけたいところですね。(※4,5)
4. 食物繊維やたんぱく質が不足しやすい
唐揚げ弁当やハンバーグ弁当など、メインとごはんが中心の種類は、食物繊維が不足しやすいです。食物繊維の不足は、血糖値の急上昇につながることもあります。
また、パンだけ・ごはんだけといった主食の単品食べも、食物繊維やたんぱく質が不足しやすいので、単品食べは避けましょう。(※4,6)
「組み合わせ方式」がおすすめ!
コンビニの特徴が分かったところで、どうしたら血糖値の急上昇や体重増加を抑えられるのかが気になりますよね。コンビニ食を利用するときのポイントを、理由とともに解説していきます。
1. 主食+主菜+副菜を基本に
血糖値の良好なコントロールには、「主食+主菜+副菜」が大切です。このバランスが整うと、食べたものを効率的に体や脳を動かすエネルギーに変えたり、満足感を得つつカロリーや糖質が抑えられたりなどが期待できます。
しかし、弁当単品でバランスを整えるのは難しいため、単品の総菜を組み合わせる方法がおすすめですよ。(※7)
2. 付属の調味料は全部かけない
塩分の摂り過ぎ防止のためにも、付属の調味料は全部かけないようにしましょう。塩分の摂り過ぎは、高血圧症のリスクが高まるだけでなく、食欲が増してしまうおそれもあるためです。
一般的な醤油小袋1個分の塩分は、0.7g程度のため、付属の調味量をかけない・少量にするだけでも、塩分摂取量が減らせますよ。(※1,3)
3. 食べかたも意識する
食べかたも、良好な血糖値を維持する方法のひとつです。野菜やたんぱく質から先に食べる、という「食べる順番」を意識すると、血糖値の急上昇が抑制できることがわかっています。
さらによく噛んで、ゆっくり食べると血糖値の上昇が緩やかになりやすいだけでなく、満足感も高まるため、食べ過ぎ防止にもつながりますよ。これらは、今すぐできる方法なので、ぜひ意識してみてくださいね。(※7,8)
組み合わせ例6選
コンビニの総菜を組み合わせて利用するメリットがわかりましたが、いざ実践となると何を選んでよいかわからないですよね。そこで、コンビニでの組み合わせ例を6つ紹介します。ここから自分なりにアレンジしていくのもおすすめですよ。
おにぎり/生野菜サラダ/ゆで卵
【栄養価】
カロリー 295kcal
たんぱく質 10.9g
脂質 9.6g
糖質 48.6g
食物繊維 2.6g
食塩相当量 0.9g
おにぎり1個だと物足りなさを感じやすいですが、野菜やたんぱく質と合わせることで、満足感を高めつつカロリーや糖質も抑えられます。生野菜やゆで卵を使うと、噛み応えが生まれ、自然と噛む回数が増えます。噛む回数を増やすと満足感が高まり、食欲が抑まりやすいでしょう。
さらに、サラダやゆで卵を先に食べると、血糖値の急上昇の防止につながりますよ。(※7,8)
ミックスサンド/ギリシャヨーグルト/ミネストローネ
【栄養価】
カロリー 415kcal
たんぱく質 23g
脂質 17.9g
糖質 38.0g
食物繊維 3.6g
食塩相当量 2.4g
パンを食べたいときに、おすすめの組み合わせです。あんぱんやチョコパンなどの菓子パン類は、カロリーや糖質が高いので、血糖値の急上昇を引き起こしやすい種類です。野菜やたんぱく質が含まれているミックスサンドを選択した方が、食物繊維やたんぱく質、糖の代謝にかかわるビタミンなどが摂りやすいですよ。
さらに、ミネストローネといった具沢山の汁物を付けると、バランスがより整いやすくなるでしょう。ギリシャヨーグルトは、たんぱく質が摂りやすい食べ物のひとつです。カルシウムが摂れるのもよいですね。インスリンの作用が不足すると、骨の代謝異常が起き、骨がもろくなりやすいこともあるので、カルシウムの補給もぜひ意識してくださいね。(※7,9,10)。
もち麦入りパックご飯/照り焼きチキン/海藻サラダ
【栄養価】
炭水化物 478kcal
たんぱく質 26.6g
脂質 16.2g
糖質 47.5g
食物繊維 5.3g
食塩相当量 3.9g
もち麦や玄米などの「全粒粉穀類」は、白米よりもビタミンB群やミネラルが豊富です。さらに、インスリン(血糖値を下げるホルモン)の生成にかかわるマンガンも白米より多い傾向のため、血糖値が気になるひとは、全粒粉穀類を取り入れてみてはいかがでしょうか?
さらに、鶏肉でたんぱく質を補給するとともに、海藻類やもち麦に含まれる水溶性食物繊維によって、血糖値の上昇を穏やかにしたり脂質の排出を促したりする作用が期待できますよ。
(※11,12,13,14)冷やしうどん/卯の花/パックめかぶ
【栄養価】
カロリー 616kcal
たんぱく質 13.8g
脂質 18.2g
糖質 95.3g
食物繊維 8.3g
食塩相当量 3.9g
麺類は野菜やたんぱく質が不足しがち。そのため、別でたんぱく質や食物繊維を足せるとよいですね。卯の花の主な材料であるおからは、たんぱく質だけでなく食物繊維も豊富です。
また、めかぶは糖や脂質の吸収を抑える水溶性食物繊維が多く含まれていますよ。(※14,15,16)
カップ麺/ゆで卵/スティック野菜
【栄養価】
カロリー 619kcal
たんぱく質 18.4g
脂質 34.6g
糖質 55.8g
食物繊維 5.9g
食塩相当量 7.9g(汁を残すと4.9g)
カップラーメンは高塩分・高脂質なだけでなく、ビタミンやミネラルが不足しやすい食品です。そのため。カップラーメン単体ではエネルギー代謝が上手くいかずに、血糖値の急上昇や、脂肪が溜まりやすくなるおそれも。
食べるときは、たんぱく質と食物繊維を足すように意識したいですね。また、カップラーメンの塩分は約6gと、高塩分であるのも気をつけたいところです。汁を残すことで、1/2~1/3の減塩になりますよ。(※16,17)
幕の内弁当/無塩のトマトジュース
【栄養価】
カロリー 647kcal
たんぱく質 25.1g
脂質 10.0g
糖質 106.1g
食物繊維 13.8gg
食塩相当量 4.5g
組み合わせるのが大変なときに。幕の内弁当は、さまざまな食材が入っているので、バランスが整いやすい弁当のひとつです。
そんな幕の内弁当に手軽に合わせるのが、無塩のトマトジュースです。トマトジュースに含まれるリコピンが、血糖コントロールに役立つと考えられているためです。食前30分前にトマトジュースを飲むことで、血糖値の上昇が抑制される研究結果もありますよ。塩分の摂り過ぎ防止のためにも、必ず「無塩」のトマトジュースにしてくださいね。(※18)
コンビニ食でも血糖値のコントロールはできる
自炊が難しい方や、忙しいときにコンビニは便利ですよね。しかし、種類によっては主食が多かったり、カロリーや塩分が高かったりなど、良好な血糖値のコントロールの妨げになるおそれも。
満足感を得ながら血糖値の良好なコントロールをかなえるには「組み合わせ方式」がおすすめです。主食+主菜+副菜を意識することで、いままで食べるのを我慢していたメニューも、楽しめるかもしれませんよ。
さらに、食べる順番や時間もぜひ意識してみてくださいね。オリジナルの組み合わせを楽しみながら、血糖値を良好にコントロールしていきましょう。