
血糖値を抑える主食はどれ?おすすめの種類と食べ方を管理栄養士が解説

糖尿病と食事の関係

糖尿病や重症化をおさえるためには、日々の食事が鍵を握ります。血糖値の変動を起こす一番の要因が食事だからです。特にお米やパン、麺などの主食には糖質が多く含まれているため、これらをいかに適切に食べていくかが大切です。
しかし、多くの方が何をどれくらい食べてよいのか悩んでいます。血糖値を上げにくい主食や、摂り方などを管理栄養士が解説します。
糖尿病の食事の基本

まずは糖尿病発症や重症化対策にはどのような点に気を付ければよいのか。食事の基本について解説します。
糖質の摂り過ぎに気をつける
血糖値を一番上げるのは糖質です。糖質はお菓子やジュースのほか、お米やパン、麺に多く含まれています。そのため、摂り過ぎによって血糖値の急上昇が起きます。
しかし、摂らなさ過ぎも実は問題です。体や脳を動かすエネルギー不足につながり、疲労やイライラを感じたり、筋肉の分解が起きて血糖値や体重のコントロールの悪化につながったりするおそれがあるためです。毎食摂るものだからこそ、「適量」を意識したいですね。
GI値の低いものを取り入れる
GI値(グリセミック・インデックス)をご存知ですか?食品の糖質の吸収度合いの指標のことで、最高値を100とし、値が低いほど血糖値が上がりにくいとされています。主食でも玄米と白米ではGI値が異なります。GI値が低いものを積極的に摂ることも血糖値のよいコントロールにつながるでしょう。
バランスを意識する
前述にあるように主食を適量、低GI食品にしても食事のバランスが崩れていたら血糖値は上がりやすいです。例えばおにぎりだけ、パンだけの食事は血糖値の急上昇が起きやすいでしょう。主食だけでは糖質を代謝するビタミンやミネラルが足りないからです。
さらに、血糖値の上昇を緩やかにするとされる食物繊維も不足します。このように血糖値のコントロールには主食の質や量だけでなく、ほかの食材との組み合わせも大事なのです。
お米の選び方と食べ方のコツ

血糖値のコントロールのための食事の基本がわかりましたね。しかし、お米は本当に摂ってもよいのか、血糖値を逆に上げないのかなど、悩む方も多いでしょう。そこで、お米を摂っても食後高血糖を抑える方法を解説します。
米は血糖値をあげる?
お米は血糖値を上げやすいイメージがありますよね。実は、お菓子よりも血糖値は上がりにくい種類です。さらに腹持ちもよいので、余剰な間食をとって血糖値を乱すのも抑えてくれます。お米が血糖値を上げやすいとされるのは、摂り過ぎや食事バランスの乱れ、食べ方などの影響が大きいのです。
おすすめの種類
お米のなかでも白米は、血糖値が上がりやすそうで避ける方も多いでしょう。確かにGI値は70以上で、高GI食品に位置づけられています。しかし、食べる量や食べ方に気を付ければ、血糖値の急上昇を抑えることはできますよ。より血糖値を抑えたい場合は、以下の種類がおすすめです。
・玄米
・もち麦
・雑穀米
これらは精製度が低い穀類で、低~中GI食品に位置付けられています。血糖値の上昇を抑える食物繊維や、糖質の代謝に関わるビタミンB群やマグネシウムなどの栄養素が白米より多いためです。しかし、摂り過ぎると消化不良を起こす場合もあるため、単品ではなく白米と混ぜて使うのがおすすめです。
血糖値を上げない食べ方
GI値が低い種類を取り入れるほかに、量や食べ方も非常に大切です。個人差はありますが、1食あたり茶碗1杯(160~200g)を目安に摂ってみましょう。また、いきなりお米から食べるのではなく、たんぱく質や野菜から食べることや、よく噛んで食べることを意識してみてください。これらの食べ方で、血糖値の急上昇を抑えることもわかっています。
このように、お米を摂っても量や食べ方をおさえれば、よい血糖値のコントロールが期待できますよ。
パンや麺の選び方と食べ方のコツ

お米は、量や食べ方を意識すれば血糖値のコントロールができることがわかりました。しかし、同じ主食の仲間であるパンや麺はどうでしょうか?パンと麺の特徴とおすすめの種類を紹介します。
パンや麺は糖尿病に良くない?
パンや麺も、お米同様に血糖値を上げやすいイメージがあるでしょう。実際、食パンといった白いパンのGI値は高めですが、麺類は意外と中~低GIの種類が多いです。しかし、パンや麺は柔らかく、たくさん噛む必要がないので胃にすぐに流れ込み、食後高血糖が起きやすいとされています。
さらに腹持ちもよくないため空腹感を感じやすく、その後の間食が増えてしまうおそれも。そのため、食べ方やバランスをしっかり意識したいですね。
おすすめの種類
パンや麺が食べたいが、血糖値が気になる場合は以下の種類を意識的に取り入れてみてください。
・食パン
・ロールパン
・全粒粉のパン
・そば
・パスタ
表1 各主食の一人前あたりの栄養価
種類 | 一人前 | エネルギー(kcal) | たんぱく質(g) | 脂質(g) | 炭水化物(g) | 食塩相当量(g) |
食パン | 6枚切り1枚(60g) | 149 | 5.3 | 2.5 | 27.8 | 0.7 |
ロールパン | 2個(60g) | 185 | 6.1 | 5.4 | 29.2 | 0.7 |
そば(ゆで) | 1束(260g) | 294 | 12.5 | 1.8 | 57.5 | 0.3 |
うどん(ゆで) | 1玉(230g) | 218 | 6.0 | 0.9 | 49.7 | 0.7 |
中華麺(ゆで) | 1玉(230g) | 306 | 11.3 | 1.4 | 67.2 | 0.5 |
パスタ(乾) | 1束(210g) | 315 | 12.2 | 1.9 | 67.6 | 2.5 |
表2 GI値一覧表[愛佐2]
GI値 | |
食パン | 95 |
うどん(ゆで) | 62 |
そば(ゆで) | 55 |
中華麺(生) | 65 |
パスタ(乾) | 48 |
※あくまで目安値です。実際の商品により値は異なります
菓子パン類は砂糖を多く使用していることから、血糖値の急上昇を引き起こしやすいです。食事として使うのは避け、シンプルな味付けのパンを選ぶようにしましょう。
さらに、ふすま粉やライ麦などの全粒粉穀類を含んだものであれば、より血糖値の上昇が抑えられますよ。また、そばやパスタは低GI食品に該当するため、麺類であればこの2種類がおすすめです。しかし、低GIだからといってパスタやそばばかり食べると、エネルギーの摂り過ぎにつながるおそれもあるため、取り入れる量や頻度には注意してくださいね。
パンや麺を食べる時の注意点
お米同様に、パンや麺はたんぱく質や食物繊維が不足しやすいです。たまごやサラダチキンを足したり、野菜をサラダやスープなどでしっかり取り入れてみたりしてください。またよく噛まずに食べられてしまう形態のため、意識的に噛むようにしましょう。
さらに、パンや麺には食塩が含まれています。血糖値のほかに血圧も気になる方は毎日食べるのは避けた方が安心です。
主食はどれが良いのか?
血糖値の良好なコントロールのためには、基本はお米を中心に食べるとよいでしょう。お米は噛み応えもあり腹持ちも良いため、間食防止にもつながります。また魚や納豆、豆腐などの糖尿病対策に役立つ食材との相性がよいのもおすすめの理由のひとつです。
さらに、お米の食塩相当量は0gのため、余分な塩分を摂らすに済みます。以上のことから、お米を中心にし、時折パンや麺料理を取り入れてみてくださいね。
お米を食べて良好な血糖コントロールを目指そう
血糖値の良好なコントロールを目指すにあたって、食事は欠かせません。特に米やパン、麺などの主食は糖質が多く含まれているため、血糖値に大きく関わります。しかし、それと同時に体と脳にも大事な栄養素でもあるため、適量を摂ることが重要です。そのほか、低GI食品を選んだり、たんぱく質や食物繊維などのバランスを整えたりすることも意識しましょう。
そんな主食ですが、基本はお米がおすすめです。低GI食品である玄米や五穀米などを活用するのも良いですね。パンや麺は時折取り入れる程度にしてくださいね。様々な食材と相性がよいお米を活用して、良い血糖値のコントロールを目指しましょう。