
糖尿病でも楽しめる!誕生日のお祝いメニューのアイデア

血糖値を上げにくくする食事のコツ
糖尿病の食事療法には、血糖コントロールが欠かせません。まずは、血糖値を上げにくくする食事のコツからおさらいしましょう。
1.食材選びのコツ
食材選びのコツは、食物繊維が多い物を選ぶこと。食物繊維は血糖値の上昇を穏やかにする働きがあるため、積極的に摂取しましょう。(※1)
<食物繊維の多い食材の例> ●穀物 |
また、GI値の低い食材を選ぶのもおすすめです。GI値(グリセミック指数)とは、食品の摂取後の血糖値の上がりやすさを数値化したもの。数値が高いほど血糖値が上がりやすくなります。食物繊維の多い物、精製されていない茶色いもの(玄米、そばなど)はGI値が低い傾向にあります。
●穀物 |
2.調理のコツ
糖尿病食は、1人ひとりの体重、性別、年齢、生活習慣などに応じて摂取カロリーを定めています。揚げ物などの脂っこい料理を中心にしてしまうと、あっという間に1食の摂取カロリーに到達してしまうため、なるべく脂質を抑えた調理法がおすすめです。
具体的には、オーブンや魚焼きグリルで焼く、蒸し器で蒸す、電子レンジで調理するといった方法があります。
ただし、悪者扱いされがちな脂質も、上手に利用すれば食事の満足度を高められます。脂質は吸収が遅いという特徴があるため、満腹感を持続しやすいのです。さらに糖質もゆっくり吸収されるため、急激な血糖値の低下を防ぎ、空腹感を抑えやすくなります。
脂質を極限まで抑えた食事ではなく、サラダに少量のアマニ油やオリーブオイルをかけたり、蒸し野菜のつけダレにえごま油を加えたりして、適量の脂質を摂るとよいでしょう。
3.食べ方のコツ
食べ方にもおすすめの順番があります。
①野菜など食物繊維の多い物
➁肉や魚などたんぱく質が多い物
③ごはんやパンなど炭水化物の多いもの
この順番に食べると、血糖値の急上昇を防げるため、普段から意識してみましょう。
また、セカンドミール効果にも注目です。セカンドミール効果とは、最初に摂った食事が、次にとる食事(セカンドミール)の後の血糖値にも影響を及ぼす現象のこと。(※2)例えば、朝食(ファーストミール)に食物繊維が豊富な食事を摂ると、昼食(セカンドミール)後の血糖値の上昇が緩やかになることが知られています。そのため、なるべくどの食事でも食物繊維をたっぷり摂るよう意識しましょう。
糖尿病に配慮した手作りお祝い膳のアイデア

誕生日にふさわしい、華やかなお祝い膳のアイデアをご紹介します。前菜・メインディッシュ・デザートの順に食べると、血糖値が上がりにくくなります。
おすすめの前菜
食物繊維がたっぷり摂れる前菜からご紹介します。
・白身魚のカルパッチョ
タイやサーモンなど、白身魚を使ったカルパッチョは、前菜の定番。魚からたんぱく質が摂れます。サラダ風に葉物野菜をたっぷり添えると、食物繊維やビタミン類も摂れますよ。ドレッシングはレモン汁やオリーブオイルの風味が立つので、塩分が少なくてもおいしく感じられます。
・カプレーゼ風ピンチョス
ミニトマトとひとくちモッツアレラチーズ、バジルまたは大葉をピックに刺すと、カプレーゼ風ピンチョスの完成。短時間で作れるだけでなく、低カロリーです。食卓を華やかに彩ってくれるため、あと一品ほしいときにおすすめ。
・きのことサラダチキンのマリネ
食物繊維をおいしくたっぷり摂るなら、きのこを焼いてかさを減らしましょう。焼いたきのこと、ヘルシーなサラダチキンをマリネすると、さっぱりおいしい前菜が作れます。きのこを焼くことで風味がよくなり、薄味でもおいしくいただけます。
・ごぼうのポタージュ
無理なく食物繊維をたっぷり摂れるのが、ごぼうのポタージュです。ごぼうは焼いてもかさが減らず、たくさん食べるのは難しいこともありますが、ポタージュならスルッと摂取できます。前菜は冷たいものが多いので、温かいスープを出すと満足度が高まります。牛乳や生クリームを使わず、豆乳で仕上げるのがおすすめです。
おすすめのメインディッシュ
簡単に作れる、肉と魚のメインディッシュをご紹介します。
・簡単ローストビーフ
難しそうに見えるローストビーフですが、実は牛もも肉の表面をしっかり焼いて、熱湯を入れた炊飯器で1時間程度保温するだけで作れます。牛もも肉は脂質の少ない部位なので、カロリーを抑えやすいのもポイント。薄切りなので少量でもかさが多く見えて、見た目からも満足感が得られます。
・マグロのステーキ
魚が好きな方は、刺身用のマグロの柵をステーキにしてみましょう。表面をサッと焼き、中心部をレアに仕上げることで、焼いてもパサつきが気になりません。肉のステーキと同じように、にんにくと一緒に焼きましょう。にんにくの味と香りで少ない塩分でもおいしくいただけます。
おすすめのデザート
特別な日なので、デザートにもこだわってみましょう。お菓子作りが苦手な人でも簡単に作れるアイデアをご紹介します。
・糖質オフプチシューのシュークリームタワー
市販の糖質オフプチシューを使い、シュークリームタワーを作りましょう。通常のシュークリームタワーは生クリームを使って積み重ねますが、カロリーを控えるために、水切りヨーグルトを使うのがおすすめ。市販の糖質オフプチシューを2袋使うとボリュームが出て、見栄えがよくなりますよ。仕上げに好みのフルーツを周りに飾ってみましょう。
・フルーツポンチ
あまり甘いものが得意でないなら、さっぱりとしたフルーツポンチはいかがでしょうか。季節の果物を同じ大きさに切りそろえ、少量の白玉とあわせたら、カロリーゼロのサイダーを加えます。色とりどりの果物が美しく、パーティーにピッタリです。
誕生日などに外食するときのポイント

誕生日など特別な日は、外食でおいしいものを食べたい方もいるはず。ここでは、糖尿病の方が外食するときのポイントをお伝えします。
ゆっくり食べるコース料理は血糖値を上げにくい
外食時は、単品料理を頼むより、コース料理を頼みましょう。コース料理はカロリーが高そうなイメージを持たれやすいのですが、ゆっくり料理を食べること、実はあまり量が多くないことが要因となり、血糖値が上がりにくいと言われています。
中でも、フランス料理のコースがおすすめです。和食ではご飯や寿司、中華では点心やチャーハン、イタリアンではパスタ・ピザ・リゾットなど、炭水化物が主役の料理が単品で提供されることが多くあります。一方、フランス料理のコースでは、炭水化物がメインとなる単品料理はあまり見られません。パンが時折提供されますが、1~2切れ程度で済むこともあり、炭水化物の摂取量を抑えやすい傾向にあります。
「単品料理のほうが自分でコントロールできていいのでは?」と思われるかもしれませんが、普段節制していると、あれもこれもとなりやすく、コントロールしにくいのです。また、どれだけ食べればいいか判断しづらいこともあるので、やはりコース料理がおすすめです。
また、コース料理を提供するお店は、お客の要望に応えてくれることがあります。ある程度ランクが上のコースしか対応していないこともありますが、「野菜を多めにしてほしい」「油を控えた料理を増やしてほしい」「塩分を少なくしてほしい」など一度相談してみるとよいでしょう。
翌日以降の食事は気を付ける
いろいろと食事のコツなどをお伝えしましたが、誕生日などの特別な日くらいは好きなものをみんなと同じように食べてもよいと考えます。その日は思い切り楽しんで、次の日からヘルシーな料理にしたり、薄味の料理にしたりして、調整しましょう。ただし、お酒の飲み過ぎは理性が鈍り、暴飲暴食の原因となるため、嗜む程度にしてくださいね。
まとめ
糖尿病の食事療法の基本は「食べてはいけないものはない」です。何を食べてもよいのですが、食べる物の種類や順番には気を付けましょう。誕生日などのお祝い膳のときも同じで、なるべく食物繊維の多い野菜から食べ始め、メインディッシュの肉や魚、デザートの順に食べ進めましょう。
お店で食事するときは、食べる量やスピードがコントロールできる、コース料理がおすすめです。お店によってはコース内容をリクエストできることもあるため、一度要望を伝えてみるとよいでしょう。また、おいしいものを食べた次の日は、ヘルシーで薄味な料理にするなど、調整できるとベストです。
これらのポイントを覚えておいて、1年に一度の特別な日を心置きなく過ごしてくださいね。