
腸と免疫力の深い関係!腸活で免疫力を高めるために知っておきたいこと

1. 腸と免疫機能の関係

免疫とは、体内に侵入した細菌やウイルスなどの病原体を「異物」として攻撃し、身体を守る仕組みのことです(注1)。腸は単なる消化器官ではなく、体内最大の免疫器官でもあり、免疫細胞の約70%が腸に集まっています(注2)。
食事を通じて、ウイルスや病原菌が体内に入るリスクがあるため、腸内には免疫細胞や抗体が多く存在し、これらが有害な物質の侵入を防いでいます。
<腸の免疫機能について>
免疫反応には、白血球などの免疫細胞が病原体を攻撃する方法と、抗体が直接異物を攻撃する方法があります。腸には、身体全体のリンパ球の約60%が集まり、抗体の約60%も腸内で生成されます。このことから、腸は免疫機能の中心的な役割を果たしていることがわかります。
2. 腸内環境が心と身体に与える影響

腸内環境は免疫機能だけでなく、私たちの心と身体の状態にも深く関わっています。近年注目されているのが「脳腸相関(のうちょうそうかん)」という考え方です。これは、腸と脳が神経やホルモン、免疫系を通じて双方向に影響し合っているというもので、腸の状態が精神の安定やストレス耐性に影響を及ぼすことがわかってきました(注3)。例えば、ストレスを感じると腸の働きが乱れ、腹痛や便秘、下痢などの症状が現れることがあります。逆に、腸内環境が悪化すると、不安やイライラを感じやすくなることも知られています。
また、腸は「幸せホルモン」と呼ばれるセロトニンの分泌にも関与しています(注4)。セロトニンは精神の安定に重要な役割を果たしており、その約90%が腸で生成されていると言われています(注4)。そのため、腸内環境が乱れると、気分の浮き沈みが激しくなったり、ストレスに対する耐性が低くなる可能性があります。腸の状態は、単なる消化や吸収の問題にとどまらず、心の健康にも大きな影響を与えることがあると考えられているのです。
3. 腸内環境をチェック!便の状態からわかること

腸内の状態を簡単にチェックする方法として、便の観察があります。便は食事内容や栄養状態、腸内細菌のバランスを反映するため、健康状態を知るための重要な指標となります(注5)。
3.1 便のチェックポイント
・色
健康な便は黄色がかった茶色です。黒っぽい便や白っぽい便は注意が必要です。腸内の不調があるかもしれません。
・形
理想的な便はバナナの形状で、適度な硬さがあります。丸い塊や硬すぎる便は便秘を示し、柔らかすぎる便や水っぽい便は下痢の兆候です。
・臭い
健康な便には少しのにおいがありますが、異常に臭い場合、腸内のバランスが崩れている可能性があります。
3.2 排便の頻度
理想的には1日1回、毎日決まった時間に便が出るのが望ましいですが、人によっては1日に2~3回、あるいは週3回の排便でも正常範囲とされています。便秘が続く場合や、逆に頻繁に下痢をする場合は、腸内環境に問題がある可能性があります。
3.3 便のタイプをチェックする方法
便の状態を簡単に確認するために、「ブリストルスケール」という分類を使用することが役立ちます。このスケールを参考にすることで、自分の便の状態が正常かどうかを確認できます。
ブリストルスケールは、便の硬さや水分量に基づいて7つのタイプに分類されます。数字が小さいほど便は硬く、大きくなるにつれて水分量が増えていきます。一般的に正常とされる便のタイプは3~5です。
タイプ | 形状 |
タイプ① | 小さくて硬い・コロコロ便 (うさぎのような糞の便) |
タイプ② | コロコロの便がつながった便 |
タイプ③ | 水分がなく、表面にひび割れがある便55 |
タイプ④(正常) | 適度にやわらかいバナナ状のなめらかな便 |
タイプ⑤ | 水分が多く、やわらかい便 |
タイプ⑥ | 境界がほぐれてふわふわと泥状の便 |
タイプ⑦ | 塊がない、水のような便 |
4. 健やかな排便リズムを整える腸活のポイント

腸のリズムを整えることは、毎日の快適な排便をサポートし、生活全体の質をアップさせるためにとても大切です。ここでは、腸の働きを整え、心地よい毎日を過ごすための簡単な方法を紹介します。
① 朝の習慣を整える
朝起きた後にコップ1杯の水を飲むと、腸が刺激され、排便が促されやすくなります。また、朝食をしっかりと取ることも、腸の動きを助けます。
② 食事で腸をサポート
腸内環境を整えるためには、食事内容にも気を付けましょう。腸に良い影響を与える食材を積極的に取り入れることで、腸の健康をサポートできます(注6,7,8)。
・発酵食品
腸内環境を良好に保つためには、善玉菌の摂取が効果的だと言われています。発酵食品を摂ることで、乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌(プロバイオティクス)を直接取り入れることができます。ただし、これらの菌は体内に長くとどまることがないため、継続的に摂取することが重要です。ヨーグルト、納豆、味噌など、発酵食品を日々の食事に積極的に取り入れるようにしましょう。
・食物繊維
食物繊維には水溶性と不溶性の2種類があります。水溶性食物繊維は善玉菌の栄養源(プレバイオティクス)となり、腸内で善玉菌を増やします。不溶性食物繊維は水分を吸収し、腸を刺激して活性化します。野菜、海藻、豆類などを積極的に摂ることで、腸内環境が整いやすくなります。
・オメガ3脂肪酸
いわし、さば、さんまなどに含まれるEPAやDHAのオメガ3脂肪酸は、体内で合成できない必須脂肪酸です(注9)。これらの脂肪酸は腸内で善玉菌が増えやすい環境を作ることが報告されています(注10)。
腸と脳は密接に関連しているため、食事を見直すことで腸内の状態を整えるだけでなく、脳機能にも良い影響を与えることが期待できます。実際に、プロバイオティクスやオメガ3脂肪酸が脳腸相関を通じて、脳の健康にも良い効果をもたらすことが研究でも示唆されています(注3,10)。
③ 腸の動きを活発にする生活習慣
適度な運動は腸の動きを活発にします。ウォーキングや軽いストレッチなど、無理なく続けられる運動を習慣にしましょう。
④ 排便のタイミングを意識する
毎日同じ時間帯に排便を試みることが、腸のリズムを作ります。特に朝起きた後にトイレに行く習慣をつけることで、自然な排便が促されます。
5. 腸活を続けるためのポイント
腸活は一度やって終わりではなく、続けていくことが大切です。無理なく習慣化するためのポイントをいくつか紹介します。
① 自分に合った腸活を見つける
腸活を続けるためには、自分に合った方法を見つけることが重要です。偏りはいけませんが、食材には合う合わないがあると言われています。さまざまな発酵食品や食物繊維の摂取方法を試しながら、自分の体に合った食材を見つけましょう。また、運動習慣も無理なく続けられるものを選ぶことが大切です。例えば、毎朝5分間のストレッチなど、手軽にできる運動から始めて、無理なく取り入れていきましょう。
② 記録をつけて便の変化を把握する
腸活を続けるためには、進捗を可視化することが効果的です。便の状態や食生活を記録することで、腸内環境の変化を把握しやすくなります。記録をつけることで改善のポイントが明確になり、モチベーションを維持する助けにもなります。自分の身体の変化を実感することで、腸活を続けやすくなるでしょう。
③ 楽しみながら取り入れる
腸活を楽しみながら続けることが、長期的な成功の秘訣です。好きな発酵食品を見つけて食事に取り入れることや、家族や友人と一緒に腸活を楽しむことができれば、無理なく習慣化できます。楽しむことで、腸活が生活の一部となり、続けることが自然に感じられるようになります。
6. まとめ
腸活は生活習慣の一部として取り入れることで、腸内環境が整い、健康全体に良い影響を与えることが期待できます。まずは自分に合った食事や運動を見つけ、無理なく続けることが大切です。また、進捗を記録して腸の変化を実感しながら、楽しんで取り組むことが、腸活を長期的に続けるためのポイントです。