※電話受付:日曜・年末年始休業

受付時間:9:00-17:00(月~土) ※日曜・年末年始休業

腸と免疫力の深い関係!腸活で免疫力を高めるために知っておきたいこと

私たちの身体には、健康を維持するためのさまざまな仕組みが備わっています。その中でも特に重要なのが「腸」の働きです。腸は、食べたものを消化・吸収するだけでなく、免疫機能においても重要な役割を担う臓器であり、私たちの健康に深く関わっています。

本記事では、腸と免疫力の関係や腸活のポイントについて解説します。

目次


1. 腸と免疫機能の関係


免疫とは、体内に侵入した細菌やウイルスなどの病原体を「異物」として攻撃し、身体を守る仕組みのことです(注1)。腸は単なる消化器官ではなく、体内最大の免疫器官でもあり、免疫細胞の約70%が腸に集まっています(注2)。


食事を通じて、ウイルスや病原菌が体内に入るリスクがあるため、腸内には免疫細胞や抗体が多く存在し、これらが有害な物質の侵入を防いでいます。


<腸の免疫機能について>
免疫反応には、白血球などの免疫細胞が病原体を攻撃する方法と、抗体が直接異物を攻撃する方法があります。腸には、身体全体のリンパ球の約60%が集まり、抗体の約60%も腸内で生成されます。このことから、腸は免疫機能の中心的な役割を果たしていることがわかります。

2. 腸内環境が心と身体に与える影響


腸内環境は免疫機能だけでなく、私たちの心と身体の状態にも深く関わっています。近年注目されているのが「脳腸相関(のうちょうそうかん)」という考え方です。これは、腸と脳が神経やホルモン、免疫系を通じて双方向に影響し合っているというもので、腸の状態が精神の安定やストレス耐性に影響を及ぼすことがわかってきました(注3)。例えば、ストレスを感じると腸の働きが乱れ、腹痛や便秘、下痢などの症状が現れることがあります。逆に、腸内環境が悪化すると、不安やイライラを感じやすくなることも知られています。


また、腸は「幸せホルモン」と呼ばれるセロトニンの分泌にも関与しています(注4)。セロトニンは精神の安定に重要な役割を果たしており、その約90%が腸で生成されていると言われています(注4)。そのため、腸内環境が乱れると、気分の浮き沈みが激しくなったり、ストレスに対する耐性が低くなる可能性があります。腸の状態は、単なる消化や吸収の問題にとどまらず、心の健康にも大きな影響を与えることがあると考えられているのです。

3. 腸内環境をチェック!便の状態からわかること


腸内の状態を簡単にチェックする方法として、便の観察があります。便は食事内容や栄養状態、腸内細菌のバランスを反映するため、健康状態を知るための重要な指標となります(注5)。

3.1 便のチェックポイント

・色
健康な便は黄色がかった茶色です。黒っぽい便や白っぽい便は注意が必要です。腸内の不調があるかもしれません。


・形
理想的な便はバナナの形状で、適度な硬さがあります。丸い塊や硬すぎる便は便秘を示し、柔らかすぎる便や水っぽい便は下痢の兆候です。


・臭い
健康な便には少しのにおいがありますが、異常に臭い場合、腸内のバランスが崩れている可能性があります。

3.2 排便の頻度

理想的には1日1回、毎日決まった時間に便が出るのが望ましいですが、人によっては1日に2~3回、あるいは週3回の排便でも正常範囲とされています。便秘が続く場合や、逆に頻繁に下痢をする場合は、腸内環境に問題がある可能性があります。

3.3 便のタイプをチェックする方法

便の状態を簡単に確認するために、「ブリストルスケール」という分類を使用することが役立ちます。このスケールを参考にすることで、自分の便の状態が正常かどうかを確認できます。


ブリストルスケールは、便の硬さや水分量に基づいて7つのタイプに分類されます。数字が小さいほど便は硬く、大きくなるにつれて水分量が増えていきます。一般的に正常とされる便のタイプは3~5です。


タイプ形状
タイプ①小さくて硬い・コロコロ便
(うさぎのような糞の便)
タイプ②コロコロの便がつながった便
タイプ③水分がなく、表面にひび割れがある便55
タイプ④(正常)適度にやわらかいバナナ状のなめらかな便
タイプ⑤水分が多く、やわらかい便
タイプ⑥境界がほぐれてふわふわと泥状の便
タイプ⑦塊がない、水のような便

4. 健やかな排便リズムを整える腸活のポイント


腸のリズムを整えることは、毎日の快適な排便をサポートし、生活全体の質をアップさせるためにとても大切です。ここでは、腸の働きを整え、心地よい毎日を過ごすための簡単な方法を紹介します。


① 朝の習慣を整える
朝起きた後にコップ1杯の水を飲むと、腸が刺激され、排便が促されやすくなります。また、朝食をしっかりと取ることも、腸の動きを助けます。


② 食事で腸をサポート
腸内環境を整えるためには、食事内容にも気を付けましょう。腸に良い影響を与える食材を積極的に取り入れることで、腸の健康をサポートできます(注6,7,8)。


・発酵食品
腸内環境を良好に保つためには、善玉菌の摂取が効果的だと言われています。発酵食品を摂ることで、乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌(プロバイオティクス)を直接取り入れることができます。ただし、これらの菌は体内に長くとどまることがないため、継続的に摂取することが重要です。ヨーグルト、納豆、味噌など、発酵食品を日々の食事に積極的に取り入れるようにしましょう。


・食物繊維
食物繊維には水溶性と不溶性の2種類があります。水溶性食物繊維は善玉菌の栄養源(プレバイオティクス)となり、腸内で善玉菌を増やします。不溶性食物繊維は水分を吸収し、腸を刺激して活性化します。野菜、海藻、豆類などを積極的に摂ることで、腸内環境が整いやすくなります。


・オメガ3脂肪酸
いわし、さば、さんまなどに含まれるEPAやDHAのオメガ3脂肪酸は、体内で合成できない必須脂肪酸です(注9)。これらの脂肪酸は腸内で善玉菌が増えやすい環境を作ることが報告されています(注10)。


腸と脳は密接に関連しているため、食事を見直すことで腸内の状態を整えるだけでなく、脳機能にも良い影響を与えることが期待できます。実際に、プロバイオティクスやオメガ3脂肪酸が脳腸相関を通じて、脳の健康にも良い効果をもたらすことが研究でも示唆されています(注3,10)。


③ 腸の動きを活発にする生活習慣
適度な運動は腸の動きを活発にします。ウォーキングや軽いストレッチなど、無理なく続けられる運動を習慣にしましょう。


④ 排便のタイミングを意識する
毎日同じ時間帯に排便を試みることが、腸のリズムを作ります。特に朝起きた後にトイレに行く習慣をつけることで、自然な排便が促されます。

5. 腸活を続けるためのポイント

腸活は一度やって終わりではなく、続けていくことが大切です。無理なく習慣化するためのポイントをいくつか紹介します。


① 自分に合った腸活を見つける
腸活を続けるためには、自分に合った方法を見つけることが重要です。偏りはいけませんが、食材には合う合わないがあると言われています。さまざまな発酵食品や食物繊維の摂取方法を試しながら、自分の体に合った食材を見つけましょう。また、運動習慣も無理なく続けられるものを選ぶことが大切です。例えば、毎朝5分間のストレッチなど、手軽にできる運動から始めて、無理なく取り入れていきましょう。


② 記録をつけて便の変化を把握する
腸活を続けるためには、進捗を可視化することが効果的です。便の状態や食生活を記録することで、腸内環境の変化を把握しやすくなります。記録をつけることで改善のポイントが明確になり、モチベーションを維持する助けにもなります。自分の身体の変化を実感することで、腸活を続けやすくなるでしょう。


③ 楽しみながら取り入れる
腸活を楽しみながら続けることが、長期的な成功の秘訣です。好きな発酵食品を見つけて食事に取り入れることや、家族や友人と一緒に腸活を楽しむことができれば、無理なく習慣化できます。楽しむことで、腸活が生活の一部となり、続けることが自然に感じられるようになります。

6. まとめ

腸活は生活習慣の一部として取り入れることで、腸内環境が整い、健康全体に良い影響を与えることが期待できます。まずは自分に合った食事や運動を見つけ、無理なく続けることが大切です。また、進捗を記録して腸の変化を実感しながら、楽しんで取り組むことが、腸活を長期的に続けるためのポイントです。

SNSでシェア

参考文献

注1)清尾康志,核酸と免疫,化学と教育,2021年69巻11号 p.464-467
注2)熊谷市「免疫力を腸から整える」
注3)小林洋大他,腸から脳の健康を考える,化学と生物 Vol.57,No.8, 2019
注4)こころとからだの免疫学-腸内細菌の働きを中心に
注5)厚生労働科学研究成果データベース「便秘! スッキリ大革命」
注6)立垣 愛郎,乳酸菌の健康機能,全人的医療,2019年17巻1号 p.8-19
注7)厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト e-ヘルスネット「食物繊維の必要性と健康」
注8)高橋 陽子,繊維質と食物繊維, 日本食品科学工学会誌,2011年58巻4号 p.186
注9)農林水産省「脂質による健康影響」
注10)橋本道男他,「ω3 系脂肪酸による認知症予防―Up to Date」,オレオサイエンス,2022年22巻7号 p.327-335

この記事を書いた人

横川仁美
管理栄養士
管理栄養士の資格を取得後、保健指導や重症化予防を中心に2500人以上へのアドバイス提供。 現在は食専門ライター×料理研究家として執筆・監修、 また企業のブランドイメージに沿ったレシピ提案を行っている。

監修者紹介

木村眞樹子医師
東京女子医科大学医学部卒業後、循環器内科、内科、睡眠科として臨床に従事している。 妊娠、出産を経て、また産業医としても働くなかで予防医学への関心が高まった。 医療機関で患者の病気と向き合うだけでなく、医療に関わる前の人たちに情報を伝えることの重要性を感じ、webメディアで発信も行っている。

おすすめ商品

関連記事

  • 腸内環境を整えるスパイスパワー!乳酸菌との相乗効果で健康効果を高める

    【Q&A】教えて!スパイスと腸活の関連性 スパイスと腸活は一見関係がなさそうに見えますが、じつは腸活に役立つことが分かっています。ここではよくある疑問にお答えします。 スパイスが腸内環境を整えるメカニズムとは? 腸内環境が悪くなる理由として、不規則な食事時間、ストレス、睡眠不足などが挙げられます。食事時間が不規則だと腸の働きが乱れ、消化不良や便秘の原因に。ストレスと睡眠不足は自律神経を介して腸の働きを抑制し、腸内フローラのバランスを崩しやすくなるのです。 このような状態を改善する強い味方になるのが、スパイスの力。スパイスには、整腸作用、食欲増進、リラックス効果、抗炎症作用など、腸内フローラを整えるさまざまな効果が期待できます。 <腸内環境を整えるスパイスの例> 消化促進効果ジンジャー、ナツメグ、カルダモン、クローブ、ターメリック、フェンネル、スターアニスなど リラックス効果カルダモン、ナツメグ、クミン、スターアニスなど 抗炎症作用ターメリック、ナツメグ、クローブなど 整腸作用ターメリック、カルダモン、ナツメグなど これらのスパイスを日常的に摂取すると、腸内フローラのバランスを整えられ、腸内環境改善につながるでしょう。実際に、胃腸薬にもスパイスが配合されています。 腸内フローラって何? 腸内フローラとは、腸内に生息する100兆個以上もの細菌が集まっている様子を表した言葉。集まっている様子がお花畑のように見えることから、腸内フローラと呼ばれています。腸内フローラに生息している腸内細菌を大きくグループ分けすると、善玉菌・悪玉菌・日和見(ひよりみ)菌の3種類です。日和見菌はその時々の腸内細菌によって、善玉菌側あるいは悪玉菌側に味方します。そのため、腸内環境を整えて日和見菌を善玉菌の味方に付けることが大切です。 腸活の詳しい方法を解説した記事はこちら 腸内フローラ改善で得られる効果とは? スパイスの力を利用することで、腸内フローラが改善すると、さまざまなうれしい効果が得られます。 ● 消化吸収の促進 ● 免疫力向上 ● 便通改善 ● 美肌効果 ● 精神の安定 など 腸は健康の要となる部分です。日々の腸活とスパイスの活用により、腸内環境を整えれば、毎日を健康にイキイキと過ごせるでしょう。 腸活に活用できるスパイスと乳酸菌の相乗効果 腸活にはさまざまなスパイスが活躍します。それらのスパイスを摂取することで、善玉菌の一種である乳酸菌との相乗効果が期待できるのです。 乳酸菌とは、ヨーグルトや漬物などの発酵食品に利用される細菌のこと。体によい働きをするため、善玉菌に分類されます。[1] ここでは、スパイスと乳酸菌の相乗効果が腸活にどのようなメリットをもたらすのか、主な効果をご紹介します。 1.消化促進 スパイスの種類ジンジャー、ナツメグ、カルダモン、クローブ、ターメリック、フェンネル、スターアニスなど 乳酸菌の効果腸内フローラを整え、消化をサポート スパイスが消化を促進することで、腸内環境改善につながります。腸内環境がよくなると、さらに乳酸菌が増えやすくなり、さらに消化吸収がされやすくなる、といった好循環が生まれるのです。その結果、栄養が吸収されやすくなり、全身の健康や美肌効果につながります。 2.抗炎症作用 スパイスの種類ターメリック、ナツメグ、クローブなど 乳酸菌の効果抗炎症作用 ターメリックやナツメグなどスパイスの一部には、抗炎症作用が期待できます。実際にターメリックに含まれるポリフェノールの一種、クルクミンに関する研究が世界中で盛んに行われています。クルクミンは、その強力な抗炎症作用が注目されており、慢性炎症が原因で引き起こされる様々な生活習慣病の予防や改善に役立つ可能性が示唆されているのです。[2] また、乳酸菌も抗炎症作用を発揮することが明らかとなっています。[3]スパイスと乳酸菌、双方の抗炎症作用が相乗効果をもたらし、全身の健康維持に役立てられるでしょう。 3.免疫力向上 スパイスの種類唐辛子、ブラックペッパー、ヒハツなど 乳酸菌の効果免疫細胞を刺激して活性化 唐辛子やブラックペッパー、ヒハツなど、ピリッとするスパイスにはピペリンやカプサイシンが含まれています。この成分は交感神経を刺激し、血流を促すのです。 また、乳酸菌は腸管内でさまざまな物質を生成することで腸管の免疫系を刺激し、免疫細胞を活性化します。 つまり、スパイスが腸の動きを活発にすることで腸内環境が整い、乳酸菌が活動しやすくなり、免疫細胞が活性化する、という好循環が生まれるのです。 4.味の向上 スパイスの種類唐辛子、ガーリック、クミン、コリアンダーなど 乳酸菌の効果料理に独特の風味を与える スパイスは料理の香りづけや味付けに、乳酸菌は食品を発酵させ独特の風味を生み出すために用いられます。この2つを掛け合わせることで、更なる食の可能性が広がります。 例えば、白菜を乳酸発酵させた「キムチ」には唐辛子やガーリック(ニンニク)、キャベツを乳酸発酵させた「ザワークラウト」にはクミンを、牛乳を乳酸発酵させたヨーグルトを使う「ラッシー」にはクミンやコリアンダーといったように、それぞれの食材や発酵方法に合ったスパイスが組み合わされます。 スパイスと乳酸菌の相乗効果により作られるこれらの料理は、風味豊かなだけでなく、健康的な食生活を送る上でも役立ちます。 スパイスの上手な活用法と注意点 スパイスを使う料理が限定されるといった理由があり、買っても余らせることがあるでしょう。ここでは、スパイスを使い切るための活用法や、注意点・保存方法も解説します。 カレー以外にも!毎日の食事に取り入れる方法 「スパイス=カレー」の図式が強いのですが、カレー以外の料理にもスパイスを役立ててみましょう。ここでは、代表的なスパイスごとにおすすめ料理をご紹介します。 ターメリックターメリックライス、パエリア、タンドリーチキン、炒め物など ナツメグハンバーグ、唐揚げ、コロッケ、ミートソース、クッキーなど シナモンお菓子作り(りんごやレーズンと相性◎)、チャイなど カルダモンにんじんサラダ、かぼちゃ料理、チャイなど さまざまな料理に活用することで、レパートリーも増えます。ぜひお試しください。 使用上の注意点 スパイスは少量でも風味が際立つため、最初は少量から試してみるのがおすすめです。 また、スパイスの種類によって適切な加熱時間が異なります。例えばクローブやカルダモンなどのホール状(粉になっていない状態)のスパイスは、じっくり炒めたり煮込んだりすることで、香りが引き出されます。一方、ターメリックやコリアンダーなどパウダー状のスパイスは加熱時間が長すぎると、特有の香りが飛んでしまうことも。料理の仕上げに加えるのがおすすめです。 スパイスの正しい保存方法 スパイスは香りや風味を楽しむ食材です。正しい保存方法を守らないと、風味が失われたりカビの原因になったりします。 ● コンロやオーブン近くで保管しない ● 直射日光の当たらない引き出しで保存するのがおすすめ ● 賞味期限を守る ● 移し替える場合は、清潔な密閉容器に保存する これらの保存方法を守り、適切に管理しましょう。 スパイス×腸活で美味しく健康的な毎日を! どの食材でも同じですが、スパイスも1日摂っただけでは健康効果に結びつきにくいため、継続して摂ることが大切です。また、スパイスと合わせて腸活も意識しましょう。スパイスと乳酸菌の相乗効果により、より健康効果アップが期待できます。 ぜひスパイスを毎日の生活に取り入れて、あなたの健康維持に役立ててくださいね。

  • 腸活の方法って?発酵食品と食物繊維で腸内健康のススメ

    腸活とは? 腸活とは、健康維持や増進のために、食生活や運動などの生活習慣を改善することで腸内環境のバランスを整える活動のことをいいます。私たちの腸内には約1,000種類、100兆個もの細菌が住んでおり、これらの細菌のバランスが腸の健康に影響を及ぼします。腸内細菌は体に有用な「善玉菌」、有害な「悪玉菌」、悪玉菌、善玉菌の中間的な「日和見菌」の3つに分類され、理想的な比率は、善玉菌2:悪玉菌1:日和見菌7とされています[1]。 ・善玉菌 善玉菌は、腸内環境を弱酸性にすることによって、悪玉菌の増殖を抑えます。さらに、ビタミン(B1、B2、B6、B12、K、ニコチン酸、葉酸など)を腸内で作り、消化吸収を助けます。 代表的な菌:乳酸菌、ビフィズス菌など ・悪玉菌 悪玉菌は、タンパク質やアミノ酸などを分解し、有害な硫化水素やアンモニアなどを生成します。 代表的な菌:大腸菌(有毒株)、ウェルシュ菌、ブドウ球菌など ・日和見菌 悪玉菌、善玉菌のどちらにも属さない菌で、優勢(多い)菌の味方をします。腸内バランスが保たれている状態では無害ですが、悪玉菌が増加すると悪玉菌に加勢します。腸内環境を改善するためには、善玉菌を増やすことが重要です。 代表的な菌:バクテロイデス、大腸菌(無毒株)、連鎖球菌など 腸活のメリットって? 腸活を実践することで、腸の調子が整い、便秘や下痢などの不調や肥満が改善される可能性があります。 さらに、腸には免疫細胞の約6割が存在し、腸内環境を整えることで免疫力を高める効果が期待されます[1,2]。 腸内環境を悪化させる原因 悪玉菌が増えてしまう原因には、次のようなものが挙げられます[1]。 ・動物性たんぱく質の摂り過ぎ ・食物繊維の摂取不足 ・不規則な生活 ・ストレス ・便秘 腸内の状態を簡単にチェックするコツ 腸の健康を把握するために、便の状態をチェックしましょう。便の特徴である「色」「におい」「形状」は、消化器官の健康状態を示す手がかりとなります[1]。 <理想的な便の特徴> ・色: 黄色から黄色がかった褐色 ・におい: においはあるが臭くない ・形状: 柔らかいバナナ状 異常に黒っぽい便や不快な臭いがある場合、腸内の健康に関する問題がある可能性があります。 腸活に重要な発酵食品・食物繊維 善玉菌を増やす食品として、発酵食品と食物繊維の摂取が挙げられます。これらの食材の役割を理解し、効果的に摂取しましょう[1]。 腸活と発酵食品との関係 発酵食品では、乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌を直接、摂り入れることができます。ただし、これらの菌は一時的にしか体内に留まらないため、習慣的に食事に摂り入れるようにしましょう[1]。 代表食材:ヨーグルト、ぬか漬け、キムチ、チーズ、納豆、味噌など <発酵食品の上手な摂り入れ方> 塩分量には気をつける必要がありますが、 朝食に納豆や味噌汁、昼にヨーグルト、夕食にキムチなど、1食に1~2品追加してみましょう。 腸活における食物繊維の必要性 食物繊維は善玉菌のエサ(栄養源)になります。腸内で善玉菌の増加をサポートし、腸内環境を整えます[1]。 ●水溶性食物繊維と不溶性食物繊維 食物繊維は水に溶ける「水溶性」と水に溶けない「不溶性」の2つの種類があります[3]。 水溶性食物繊維は、麦類や果物、野菜、海藻類に多く含まれ、腸内の善玉菌のエサになります。また、糖や脂質などの吸収を遅らせることで知られています。 不溶性食物繊維は、玄米や雑穀、きのこ類、豆類、根菜に多く含まれ、便のカサを増やし、腸管を刺激して腸の運動を活発化させます。 <食物繊維を多く含む食材例> 水溶性食物繊維不溶性食物繊維 ・穀類(麦類など) ・野菜類(オクラ・モロヘイヤなど) ・海藻類(わかめ、こんぶなど) ・果物類(りんごやプルーンなど) ・穀類(玄米など) ・豆類(大豆、いんげん豆など) ・根菜類(ごぼう、たけのこなど) ・きのこ類(ぶなしめじ、しいたけなど) ●食物繊維はどれくらい摂ればいいの? 厚生労働省の「日本人の食事摂取基準2020年版」によれば、水溶性と不溶性食物繊維を合わせて18〜64歳の男性は1日に21g以上、女性は1日に18g以上の食物繊維を摂取することが推奨されています」[4]。 <食物繊維の食事摂取基準(g/日)> 性別男性女性 年齢等目標量目標量 18~29(歳)21以上18以上 30~49(歳)21以上18以上 50~64(歳)21以上18以上 65~74(歳)20以上17以上 75以上(歳)20以上17以上 妊婦・授乳婦18以上 【出典】厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」より ●日本人の食物繊維の摂取量は不足しがち しかし、令和元年の国民健康栄養調査によると、20歳以上の日本人の実際の食物繊維摂取量は男性が約19.9g、女性が約18.0gで、目標値に達していません[5]。 食物繊維の不足を解消するために、次のようなことを試してみましょう。 <不足しがちな食物繊維を摂る3つのコツ> ・主食に全粒穀物を取り入れる 白米に、玄米や雑穀、麦などを混ぜることで、手軽に食物繊維量を増やせます。 ・生野菜を温野菜に変える 野菜は加熱するとかさが減り、食べやすくなります。ただし、水溶性の食物繊維は水に溶けやすいため、電子レンジで加熱するか、スープとして食べることがおすすめです。 ・野菜は皮ごと摂る 食物繊維は野菜の皮に多く含まれているため、できるだけ皮ごと摂り入れましょう。 オリゴ糖も善玉菌のエサに オリゴ糖も食物繊維と同じように、善玉菌のエサになります[1]。 多く含まれている食品例: 豆類(大豆など)、野菜類(アスパラガス、ごぼう、玉ねぎ、にんにくなど)、果物(バナナなど) 善玉菌を含む食品やオリゴ糖を摂る際の注意点 甘いヨーグルトや乳酸菌飲料、塩分を含む発酵食品を多く摂ると、糖分や塩分の摂り過ぎにつながることがあるので注意しましょう。 また、オリゴ糖を急に摂取すると、胃腸が弱い方は下痢や腹痛などの症状が現れることがあります[1,6]。 腸内環境を守るために、食事のバランスを大切に 腸に良いからと言って特定の食材に偏ることは、腸内環境に悪影響を及ぼす可能性があります。バランスの取れた食事で腸の健康を守りましょう。

  • 乳酸菌に期待できる健康効果とは?乳酸菌入りの食品を使ったおすすめメニューも紹介

    そもそも乳酸菌とは? 乳酸菌とは発酵によって糖から乳酸を作り出す性質を持つ微生物の総称です。ヒトの体にとって有益な菌であることから「善玉菌」とも呼ばれます。 それではまず、乳酸菌について知識を深めましょう。 乳酸菌の種類について 乳酸菌は確認されているのは何百種類とあるものの、自然のあらゆるところに存在することから数千種類あるという説もあり、未だ乳酸菌の全ては解明されていません。 今回は、私たちの生活に身近な乳酸菌について解説します。 ・ブルガリクス菌 ブルガリア地方のヨーグルトから分離される菌種です。おなじみのプレーンヨーグルトにも使用されています。 ・サーモフィルス菌 ブルガリクス菌とともにヨーグルトの種菌として使用されます。ヨーグルト独特のとろみを作り出すはたらきがあります。 ・アシドフィルス菌 ヒトの体内のさまざまな場所にもともと存在する菌です。ヨーグルトだけでなく発酵乳の製造時にも使用されます。 上記は製造時にヒトの手によって添加されますが、漬物は野菜にもともと付着していた乳酸菌が発酵することで作られます。漬物の乳酸菌が「植物性乳酸菌」と呼ばれるのはこのためです。ちなみに動物性・植物性という呼び方は学術的な分類ではありません。 ビフィズス菌は乳酸菌ではない? 上記をご覧になって「ヨーグルトのパッケージで見かけるビフィズス菌はないのかな?」と思われた方もいるのではないでしょうか。 ビフィズス菌も「乳酸を作り出すことから乳酸菌である」という説もありますが、厳格にいうとビフィズス菌は乳酸菌には入らないといわれています。 なぜならビフィズス菌は乳酸だけではなく、酢酸も作り出す菌だからです。 よってビフィズス菌は整腸作用のみならず、生成した酢酸によって腸内の悪玉菌の繁殖を抑える作用があります。 乳酸菌を摂ることで期待できる効果 乳酸菌と聞くと「おなかの調子を整える」イメージが強いでしょう。 整腸作用とは便通異常の改善だけでなく、悪玉菌の繁殖を抑え、腸内環境をよくすることです。 しかし乳酸菌にはおなかの調子を整えるだけでなく、多くの効果が期待できます。腸内環境が整うことによる免疫力の向上、ダイエットサポート、美肌にもよいとされています。 プロバイオティクス・プレバイオティクスの違い ここからは、ヨーグルトの宣伝などで見聞きする「プロバイオティクス」と「プレバイオティクス」の言葉の意味を解説します。 プロバイオティクスとは、生きて腸に到達してヒトに有益な効果をもたらす微生物のことです。 一方でプレバイオティクスとは、プロバイオティクスが増殖しやすく、働きやすい環境を作り出す役割を果たすものです。代表的なものとしては、善玉菌のエサとなるオリゴ糖や食物繊維があります。 そして、プロバイオティクスとプレバイオティクスを組み合わせた状態を「シンバイオティクス」といいます。乳酸菌などの善玉菌と共に、菌が働きやすい環境要素となるものを合わせて摂ることで、腸内環境がより改善すると考えられています。 よって、乳酸菌入りの食品を摂る際は、オリゴ糖や食物繊維を豊富に含む野菜やきのこを組み合わせるとよいでしょう。 乳酸菌を使用した発酵食品について ここからは、乳酸菌を使用した発酵食品について紹介します。 ヨーグルト・乳酸菌飲料 ヨーグルトは牛乳などを乳酸菌または酵母で発酵させて作ります。正式名称は「発酵乳」です。ヨーグルトの独特の酸味は乳酸菌が乳糖を分解して生成した乳酸によるものです。 ヨーグルトと乳酸菌飲料の違いは主に無脂乳固形分の割合の違いです。ヨーグルトは8.0%以上ですが、乳酸菌飲料は3.0%以上となっています。ヨーグルトと乳酸菌飲料のどちらも生菌と殺菌の2つのタイプがあります。殺菌とは加熱によって菌が死んだ状態で「死菌」といいます。死菌は腸内で乳酸菌のエサになるなどの働きがあり、体にとって有益な効果が期待できます。 チーズ チーズは乳酸菌や酵素によって乳タンパク質を固めた食品です。私たちの生活になじみのあるチーズはプロセスチーズで、1つあるいは数種類のナチュラルチーズを加熱して溶かし、再度固めて作ります。ナチュラルチーズは数多くあり、水分がたっぷりで食感を楽しめるフレッシュタイプのモッツァレラや、表面に白カビを付けることで乳酸菌とともに発酵が進むカマンベール、発酵期間が長く固めのチェダーなどがあります。 漬物 漬物には発酵をともなわない梅干しや浅漬けもありますが、今回紹介するのは「発酵漬物」です。発酵漬物にはぬか漬け、すぐき漬け、キムチなど、多くの種類があります。発酵漬物は野菜にもともと付着している乳酸菌が、野菜に含まれる糖を分解することで乳酸を生成し、独特の風味を作り出します。 日本酒 日本酒は蒸米、米麹、水を原料とし、アルコール発酵させて作ります。日本酒の発酵は麹菌によるものが大きいですが、乳酸菌が発酵することで作り出す乳酸は、雑菌の繁殖を抑える作用があります。 乳酸菌入りの発酵食品を食事に組み込むことで期待できる効能3つ 乳酸菌入りの発酵食品を摂ることで、どのような健康効果が期待できるのでしょうか。今回は3つ解説します。 おなかの調子が整う 乳酸菌などの善玉菌がおなかの中で増えることで、腸内環境が整い便通がよくなるほか、排便回数が増える効果が期待できます。前述の「シンバイオティクス」のとおり、乳酸菌とともに食物繊維やオリゴ糖が含まれる野菜やきのこ、海藻などもたっぷり摂取しましょう。 美肌のサポート おなかの調子が悪く、便秘の状態が続いてしまうと腸内に毒素がたまってしまい、肌荒れの原因となる場合があります。乳酸菌はずっと腸内に蓄積されるわけではなく排出されることから、毎日の適度な乳酸菌の摂取が重要です。 代謝アップ 乳酸菌の種類によっては「体脂肪を減らすのに役立つ」として、機能性表示食品のサプリメントや飲料も増えています。また、血中コレステロール値を下げる作用もあるといわれており、健康に寄与する多くの効果が期待されています。 乳酸菌入りの発酵食品を活用したおすすめメニュー3選 乳酸菌入りの発酵食品を用いた簡単料理を3つ紹介します。乳酸菌入りの食品とともに、乳酸菌が働きやすい環境を整える野菜などの食品を組み合わせることで、前述の「シンバイオティクス」を有効活用しましょう。 ヨーグルトサラダ さつまいもやかぼちゃをヨーグルトで和えるサラダです。はちみつやナッツ、レーズンを加えれば、デパ地下風のおしゃれなサラダになります。フルーツを使ってデザートサラダにするのもおすすめです。 白身魚のチーズホイル焼き たまねぎやにんじんの薄切り、たらや鮭などの白身魚の切り身、チーズの順にアルミホイルに乗せてオーブントースターで焼くだけの簡単調理です。きのこもたっぷり加えれば旨味とボリュームもアップします。チーズの塩味があるため、味付けは少量の調味料でおいしく召し上がれます。醤油、ぽん酢、マヨネーズなど好みに合わせてアレンジが可能です。 豚キムチ炒め 豚肉、キムチ、お好みの野菜をたっぷり使ってフライパンで炒めます。ごはんの上に豚キムチ、温泉卵を乗せればタンパク質がしっかりチャージできる豚キムチ丼の完成です。 まとめ 本記事では乳酸菌の種類や摂取によって期待できる効果、乳酸菌入りの食品について解説しました。 乳酸菌入りの食品はアレンジ自在なことから、毎日の食事に活用できます。 食事のみならず、間食にヨーグルトや乳酸菌飲料を取り入れるなどして、乳酸菌を毎日の健康作りに役立ててみてはいかがでしょうか。

前の記事 コラム一覧へ戻る 次の記事