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初心者向けファスティングの始め方!仕事や家事と両立できる無理のない方法とは

美容・健康志向の人が取り組んでいるファスティング。「よく耳にするけど、実際何をするの?」そう思う方も少なくないでしょう。ファスティングは食事制限の一種で、美容や健康維持のために行われています。

この記事では、ファスティングの方法や注意点、仕事や家事と両立させるポイントを解説します。ファスティング初心者の方はぜひ参考にしてください。

目次


ファスティングって何?断食との違いは?


断食とファスティングは、どちらも食事制限を伴うものですが、その方法と目的に違いがあります。(※諸説ありますので、一例として捉えてください)


断食は、水を含む一切の食べ物を断つ方法です。手術や検査前など医療目的や、宗教的な儀式の一環として行われることも多く、期間は数時間から数日、長ければ数週間とさまざまです。
一方、ファスティングは特定の飲み物(酵素ドリンクやスープなど)を摂取しながら行う食事制限です。美容やダイエット目的で取り入れられることが多く、期間は長くても数日程度が一般的です。


つまり、断食は「完全な絶食」、ファスティングは「限定的な食事制限」と言えるでしょう。

現代人にうれしいファスティングの効果とは


ファスティングは美容やダイエット目的で行われると説明しましたが、具体的にどのようなうれしい効果が得られるのでしょうか。

腸内環境の改善

ファスティングを行うと、腸内環境をリセットする効果が期待できます。固形物の摂取を控えることで、消化活動に使われるエネルギーが抑えられ、その分、体内のメンテナンスに力が注がれます。これにより、腸内に蓄積された不要な物質が排出されやすくなり、腸内バランスが整うのです。その結果、免疫機能の向上にも繋がると考えられています。

美肌効果

ファスティングは、腸内の不要物を減らし、美肌へと導く可能性があります。腸に溜まった老廃物が排出されることで、肌トラブルの原因物質が減少し、肌の調子が整います。さらに、ファスティングは細胞内の自己浄化作用であるオートファジーを活性化させます。これにより、古いタンパク質が分解・再利用され、細胞の修復が促されるため、肌のハリと弾力アップが期待できます。

血糖値の安定

通常、食事をすると血糖値が上昇し、インスリンというホルモンが分泌されて血糖値を下げます。しかし、過剰な糖質摂取などが続くと、インスリンの働きが悪くなり(インスリン抵抗性)、血糖値が乱高下しやすくなります。ファスティング期間中はインスリンの分泌が抑えられ、インスリン受容体の感受性が向上するため、血糖値のコントロールがよくなるのです。(※1)

味覚のリセット効果

私たちは普段、塩分を過剰摂取している傾向にあり、高血圧など生活習慣病の原因となります。ファスティング中は食事制限により自然と塩分摂取量が減少し、味覚がリセットされると言われています。これにより、薄味でも食材本来の味を鮮明に感じられるようになり、濃い味付けに頼らずとも満足感を得られるようになるのです。

初心者におすすめ!1日ファスティングのやり方


仕事や育児・家事をしていると、長期間のファスティングにチャレンジするのは難しいことも。そこでまずは1日だけのファスティングに挑戦してみませんか。ここではタイムスケジュールをもとに、ファスティングの方法をご紹介します。

ファスティング1日前

ファスティングの前日は消化のよい食べ物にしましょう。肉や魚などの動物性たんぱく質を避け、おかゆやそば、味噌汁、納豆などを食べます。夜ご飯は具なし味噌汁(スープ)がおすすめです。


OKな食べ物・おかゆや雑炊
・そば
・豆腐や納豆
・味噌汁や野菜スープ
・ナッツ
NGな食べ物・動物性たんぱく質(肉や魚)
・ファストフード
・脂っこい料理
・甘いお菓子

ファスティング当日

ファスティング当日は、酵素ドリンク・具なし味噌汁・スムージーなど、決められた飲み物だけを摂取します。酵素ドリンクは商品によって飲む回数が異なりますので、説明書きをよく読んでください。あとはいつも通りの生活をしてOKです。なるべくゆったりリラックスしながら過ごしましょう。


Point.1 たっぷり水分補給をする
そしてファスティング中は、食事から水分を摂らないため、水分不足になる可能性が高まります。水やノンカフェインのお茶を、1日1.5~2L摂るようにしてください。


Point.2 軽い運動をする
また、ウォーキングやヨガなど軽い運動をすることで、筋肉量を維持できます。ただし、ランニングや激しい筋トレは禁物。体内の糖が少ない状態なので、低血糖を引き起こす可能性があります。


Point.3 アルコール・カフェインは控える
ファスティング中、アルコールやカフェイン飲料はおすすめできません。胃に負担をかけて調子が悪くなったり、利尿作用により体内の水分が不足する可能性があるからです。

ファスティング翌日

ファスティング終了後は、消化吸収のよい体に優しい食事からスタートしましょう。朝食に酵素ドリンクなどを摂ります。昼食・夕食もなるべく固形分を取らず、具なしの味噌汁や10倍粥、酵素ドリンク、すりおろしりんごなどで済ませます。

ファスティング翌々日

ファスティングの翌々日から、固形分を解禁してOKです。朝食はお粥からスタートし、昼食から魚や豆腐など、脂質の少ないたんぱく質を取り入れます。夕食も脂質の少ない和食を摂るよう心がけましょう。ただし、固形分がOKになったからと言って、揚げ物などの脂っこい料理や辛い料理は胃に負担をかけて体調を崩す可能性があるため、控えましょう。

仕事や家事と両立させるポイント


ファスティングは、時間に余裕のある休日に行うのが理想的です。準備や回復食の用意は、予想以上に手間がかかる場合があり、心の余裕がなければ負担に感じるかもしれません。平日に実施する場合は、体力や集中力を必要としない日を選び、無理のないスケジュールを立てましょう。ファスティング期間中は、心身ともにリラックスできる環境を整えることが、成功の鍵となります。

ファスティングの注意点


ファスティングはいつもと違うことをするため、注意点を守らないと体調不良の原因となります。必ずチェックしてからはじめましょう。

1.急にファスティングを始めない

ファスティングを始める前には、必ず準備期間を設けましょう。普段通りの食事から急にファスティングを始めると、体は急激な変化に対応できず、強い空腹感に苦しむことがあります。空腹に耐えられず挫折しないためにも、ファスティング前日は消化の良い軽めの食事に切り替え、体を慣らしておくことが大切です。

2.ファスティング後は急に元の食事に戻さない

ファスティング後、急に通常の食事に戻すと、体調を崩す原因になります。例えば、ファスティング後に甘いものを摂ると、血糖値が急激に上昇し、体への負担が大きくなります。また、脂っこい食事や高たんぱく質な食事も、消化器官に負担をかけるため避けましょう。ファスティング後の食事は、おかゆや具なしの味噌汁など、消化の良いものから徐々に始めることが大切です。

3.完全な断食はかえって痩せにくくなることもある

水分も断つ完全な断食は、自己流で行うと逆効果になる可能性があります。体が飢餓状態と判断し、エネルギー消費を最小限に抑えようとするため、かえって痩せにくくなるのです。さらに、脱水症状のリスクも高まります。健康を害する恐れがあるため、水も飲まない断食は避けるべきです。

4.持病がある方はかかりつけ医に相談する

持病をお持ちの方がファスティングに挑戦する際は、必ず主治医に相談してください。病状によっては、ファスティングが症状を悪化させる危険性があります。また、服用中の薬との相互作用も考慮する必要があります。安全のため、自己判断でのファスティングは避け、医師の指示に従いましょう。

5.妊娠中・成長期の子ども・高齢者はファスティングNG

妊娠中や成長期の子どもは、多くのエネルギーと栄養を必要とするため、短時間のファスティングでも体調を崩しやすいです。また、高齢の方は必要な栄養素が不足しやすく、栄養不良のリスクが高まります。持病をお持ちの方も多いため、バランスの取れた食事を心がけ、ファスティングは避けることをおすすめします。

6.体調が悪くなったらすぐに中断する

体調に異変を感じたら、すぐにファスティングを中止しましょう。頭痛には少量の塩分摂取が有効な場合もありますが、無理は禁物です。ファスティングはあくまで美容と健康のため。体調を最優先に考え、少しでも異変を感じたら中断してください。

まとめ

ファスティングは、固形物を断つことで消化器官を休ませ、腸内環境の改善や美肌、減量効果が期待できます。また、食事を見直すことで味覚が研ぎ澄まされ、薄味でも満足できるようになり、塩分過多を防ぐ効果も。美容と健康に多岐にわたる効果が期待できるファスティング。ぜひ時間を作り、一度試してみてはいかがでしょうか。

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参考文献

※1 オーソモレキュラー医学会|世界を席巻するファスティング、間欠的ファスティング

この記事を書いた人

端場愛
管理栄養士
学生寮や老人保健施設で実務経験を積んだのち、フリーランスの管理栄養士に。食べ物と体の関係を分かりやすく伝え、少しでも多くの人に健康になってもらうことを目標に、ライターとして活動中。

監修者紹介

木村眞樹子医師
東京女子医科大学医学部卒業後、循環器内科、内科、睡眠科として臨床に従事している。 妊娠、出産を経て、また産業医としても働くなかで予防医学への関心が高まった。 医療機関で患者の病気と向き合うだけでなく、医療に関わる前の人たちに情報を伝えることの重要性を感じ、webメディアで発信も行っている。

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    魚から得られる健康効果4つ 魚を食べると健康維持に役立つのは事実ですが、どのような効果が得られるのか整理してみましょう。ここでは主な4つの健康効果を説明します。 血液サラサラ(EPA) EPA(エイコサペンタエン酸)は、血液をサラサラにする効果が期待できます。その結果、動脈硬化、脳卒中、心筋梗塞、高血圧、脂質異常症など血液や血管に関わる病気を予防できるのです。 また、アレルギー疾患やアトピー性皮膚炎などを軽減するとの研究結果もあり、健康維持に役立つでしょう。[1] <多く含む魚>  ・イワシ  ・サバ  ・アジ  ・サンマ  ・マグロ(トロ部分)  ・ブリ など EPAの効果が期待できる摂取量 1日100g以上の青魚を食べると、EPAの持つ効果が得られると言われています。ただし多く食べればいいわけではなく、バランスが大切です。魚・肉・大豆類それぞれが持つ効果は異なるため、毎日さまざまな食品をバランスよく摂取するとよいでしょう。[2] 記憶力維持(DHA) 記憶力の維持に役立つと言われているのが、DHA(ドコサヘキサエン酸)です。DHAは主に青魚に多く含まれているのですが、EPAと一緒に含まれることが多くなっています。そのため、EPAと同様の作用が期待でき、アレルギー疾患の軽減や動脈硬化、脳卒中、脂質異常症などの病気を予防できるとされています。 また、DHAは朝に食べると血液中の中性脂肪が減少するとの研究結果も出ています。健康維持のために、朝食にサバの塩焼きなどを取り入れてみてはいかがでしょうか。 <多く含む魚>  ・マグロ(トロや目のゼリー状の部分)  ・ブリ  ・サバ  ・イワシ  ・アジ など 強い体(たんぱく質) 魚の主成分であるたんぱく質は体を作る材料になり、筋肉はもちろん、皮膚や内臓など体のあらゆる場所に使われます。魚は良質なたんぱく質であり、効率良く体内で利用されるため積極的に食べたいものです。たんぱく質を摂取すると低栄養予防や免疫機能向上に役立つため、健康的な生活を送るには欠かせません。 <多く含む魚> どの魚にもたんぱく質が含まれますが、1切れ(80g)あたり約16gが摂取できます 丈夫な骨(カルシウム) 骨ごと食べられる小魚を食べるとカルシウムが摂れ、丈夫な骨を作る効果が得られます。主に骨粗しょう症予防に役立つため、日頃から積極的に摂りたい栄養素です。特に女性は閉経後、ホルモンバランスの変化で骨量が急激に減るため、骨粗しょう症のリスクが高まります。そのため、男性よりも意識してカルシウムを摂る必要があるでしょう。 <多く含む魚>  ・ワカサギ  ・アユ  ・シシャモ  ・イワシ(煮干しやちりめんじゃこ) など 魚を手軽においしく食べる方法 魚の健康効果を得るには、魚を定期的に食べることが一番です。しかし、毎日のように鮮魚を買いに行ったり、調理をしたりするのは難しいケースもあるため、手軽においしく食べられる方法をご紹介します。 切身(冷凍魚) 魚の切り身は、骨を丈夫に保つ以外の健康効果が得られます。ただし、鮮魚の切り身は日持ちがせず、毎日買いに行けないこともあるでしょう。そのため、冷凍の魚を利用するのもおすすめです。市販の冷凍魚は生と栄養価がほとんど変わらず、保存期間も長いなどメリットがたくさんあります。 刺身 刺身はEPAやDHAが効率良く摂れます。調理により魚の脂が溶けだすと、EPAやDHAの摂取量が減ってしまうからです。刺身は盛り合わせを選ぶとさまざまな種類の魚が食べられ、複数の栄養も摂れます。 缶詰 缶詰はEPAやDHAを多く含む部位も丸ごと使われているため、切身よりも効率良く栄養が摂取できます。また、通常は固くて食べられない骨も柔らかく処理されており、カルシウムも同時に摂取できるのがメリットです。保存期間も長く、すぐに食べられるため、ストックして日々の食事に役立てるのもよいでしょう。 惣菜 魚の調理が面倒な場合は焼き魚やフライなど、魚の惣菜を利用するのもひとつの手段です。焼いたり揚げたりするとEPAやDHAなど減ってしまう栄養素もありますが、家庭で調理した場合も同じです。マイナスに着目するより日々魚を食べる習慣をつけることを大切にしましょう。 魚を食べる際の注意点・ポイント 魚で健康効果を得るためにも、食べる際に覚えておいてほしいポイントを4つお伝えします。 1.塩分量に注意 魚を調理する際は、濃い味付けにしないようにしましょう。「煮魚は薄味にする」「刺身は醤油をつけすぎないようにする」「焼き魚に醬油をかけない」といった工夫が必要です。特に高血圧の方は塩分摂取量が多くならないようにしましょう。 2.アニサキスに注意 刺身を食べる場合はアニサキスが潜んでいる可能性があるため、十分に注意が必要です。特に自分で魚をさばいて刺身にする際は、新鮮な魚を選びましょう。 詳しくは厚生労働省の情報をご確認ください アニサキスによる食中毒を予防しましょう 3.ビタミンB群・Dを一緒に摂る 魚に含まれるたんぱく質を代謝するには、ビタミンB群が必要です。主にビタミンB2、B6が必要になるため、魚を食べる際は一緒に食べるとよいでしょう。また、カルシウムの吸収率を上げるためにビタミンDを一緒に摂るのがおすすめです。 ビタミンB2  ・レバー、ウナギ、カレイ、卵、納豆など ビタミンB6  ・鶏肉、赤身肉、マグロ、カツオ、バナナなど ビタミンD  ・キノコ類、サケ、卵など 4.食べにくい場合はとろみをつける 魚は加熱するとパサつくこともあるため、人によっては食べづらさを感じるかもしれません。その場合はあんなどでとろみをつけて、飲み込みやすくするとよいでしょう。ほかにもすり身状にしてつみれにする、ハンバーグ状にするなど食べやすさを工夫するのがおすすめです。 魚は体にうれしい効果がたくさん 魚はたくさんの健康効果を秘めた、体にうれしい食べ物です。毎日は食べられなくても、週3~4日程度食べる習慣をつけることで、健康効果を得やすくなるでしょう。 また、今回紹介しなかった魚にもたくさんの栄養が含まれているため、できるだけさまざまな魚を食べるのがおすすめです。 日々の食卓に魚を登場させて、毎日の健康維持に役立ててくださいね。

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