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糖質制限ってなぜ危険!?制限のデメリットと実践の基礎知識

最近では、スーパーやコンビニで「糖質ゼロ」や「低糖質」の商品が増加しており、カロリーだけでなく糖質を制限するという考え方が広く浸透してきています。しかし、糖質は身体の主要なエネルギー源であり、過度な糖質制限は健康を害する可能性があることも指摘されています。

この記事では、糖質制限のデメリットと糖質の適切な摂り方についてご紹介します。

目次

糖質は身体に必要不可欠な栄養素


糖質は、三大栄養素の一つである炭水化物から食物繊維を取り除いたものを指します。ごはん、パン、めん類などに多く含まれ、身体の主要なエネルギー源(1gの糖質につき4kcalのエネルギー)となります。

一方、食物繊維は体内の消化酵素で分解されない成分であり、腸内環境を整える働きや糖や脂質の吸収を緩やかにする働きがあります[1,2]。


<糖質を多く含む食べ物>
穀類(ごはん、パン、めん類)、イモ類、果物、お菓子、ジュース類など

糖質の摂取目安量ってどのくらい?


厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」によれば、一日に摂取する炭水化物の目標量は、摂取エネルギーの50~65%とされています[3]。食事全体のエネルギー量に対して、炭水化物は半分程度、と考えると理解しやすいでしょう。


<日本人の推定エネルギー必要量(kcal/日)>

年齢男性(kcal/日)女性(kcal/日)
18~29(歳)2,6502,000
30~49(歳)2,7002,050
50~64(歳)2,6001,950
65~74(歳)2,4001,850
75以上(歳)2,1001,650

【出典】厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」

※エネルギー必要量は、個々の体格や活動量によって異なります。ここでは身体活動レベルを「ふつう」で抜粋。


例えば、30~49歳の男性が炭水化物から得るエネルギーの目標量を計算すると、以下のようになります。

2,700 kcal×50~65%=1,350~1,755kcal

実際の摂取量に換算すると、炭水化物は1g当たり4kcalのエネルギーを持っているため、推定エネルギー必要量を4で割った、約338~439g/日となります。

炭水化物の大部分は糖質なので、おおよそこれくらいの糖質を摂取しないと、私たちはエネルギー不足になってしまうということです。

糖質の過剰摂取に潜む問題


糖質は身体にとって重要な栄養素である一方で、必要以上の摂り過ぎは問題となります。糖質を摂取すると一時的に血糖値が上昇しますが、それに反応して膵臓からインスリンと呼ばれるホルモンが分泌されるため、糖は筋肉や肝臓、脂肪細胞などに取り込まれ、血糖値は低下します。

身体に取り込まれた糖は、細胞のエネルギー源として利用されますが、エネルギー源として使い切れなかった糖は、インスリンの働きによって中性脂肪に変換されて、脂肪細胞に蓄積されます[4]。

特に糖質を多く含む食事を取り過ぎると、食後高血糖になり、通常よりもインスリンの分泌も増えるので注意が必要です。

この状態が続くと、肥満だけでなく、膵臓がインスリンを分泌する負担がかかり、生活習慣病のリスクが高まります[5]。

糖質制限ダイエットとは?


糖質制限ダイエットとは、主食であるごはん、パン、めん類など、糖質の摂取を制限することによって体重を減らす食事法です。インスリンの過剰分泌を抑え、体脂肪の蓄積を抑える効果があると言われています。

1日の糖質摂取量を40g以下に抑える「ケトジェニックダイエット」や、70~130gに制限する「ロカボ」などがあります[6,7]。

しかしながら、糖質制限ダイエットは本来、糖尿病患者を治療するための食事法だったため、自己判断による糖質制限はリスクを伴います。糖質の摂取量を減らしたい場合は、自己判断せずに医師や管理栄養士に相談し、専門家の指導を受けながら実践することが推奨されています。

特に、次のような方は注意が必要です[6]。


・持病がある方
腎臓病を患っている方は、タンパク質を制限する分、糖質などでエネルギーを取る必要があるため、糖質制限は不向きと考えられています。他の持病をお持ちの方も含めて、必ず自己判断で糖質制限を行わないようにしましょう。


・高齢者
糖質制限により身体のエネルギー供給が不足すると、体力の低下が起こり、これによって病気にかかりやすくなる可能性があります。


・妊娠期・子ども
妊娠期や成長期の栄養の偏りは、発育に影響を及ぼす可能性があります。多様な栄養素を摂るように心がけましょう。

過度な糖質制限の危険性とは?


近年、糖質制限ダイエットは広く知られるようになりましたが、実は長期的な継続に関する安全性や予後についてはまだ十分に研究が行われていません[6] 。

過度な糖質制限には、以下のようなデメリットが考えられています。


・脳のエネルギー不足
糖質は脳の主要なエネルギー源となる栄養素です。糖質を摂らないと、脳がエネルギー不足に陥り、集中力や思考力が低下する可能性があります[1]。


・カロリーの摂り過ぎ
糖質を制限することでおかずの過剰摂取が起こり、タンパク質や脂質の摂取量が増加し、結果として全体の摂取カロリーが高くなることがあります[8]。


・リバウンドのリスク
糖質が減ると、身体はエネルギー不足に陥り、筋肉の材料となるタンパク質が分解されてエネルギー源として利用されます[3]。これにより筋肉量が減少し、基礎代謝も低下します。リバウンドのリスクが高まり、痩せにくい体質になる可能性があります。


・便秘の可能性
糖質を多く含むごはんやパンなどの食品は水分も多く含まれているため、これらを制限すると身体の水分が不足しやすくなります。同時に、便の体積を増やす材料となる食物繊維の摂取量も不足しやすくなります[2,9]。


・ケトン体の生成に伴う問題
極端な糖質制限の場合、脂質が分解され、その過程でケトン体やアンモニアが生成されることがあります。これらの副産物は有毒であるため、代謝が追いつかずに一定量を超えると、健康に悪影響を及ぼしたり、口臭や体臭の原因になったりすることがあります[10]。

糖質に気を付けるなら、まずは間食の見直しから


糖質の摂取を気にするなら、まずは間食の内容から見直すと良いでしょう。糖質は主に血糖値をすばやく上げる「単純糖質」とゆっくり上げる「複合糖質」に分かれ、お菓子には単純糖質が多く含まれています[1]。


●単純糖質
「ブドウ糖」や「ショ糖(砂糖)」のように鎖が短い糖質を指します。単純糖質は鎖が短いため、すばやく吸収され、食後に急激に血糖値を上昇させます。

多く含まれる食材例:お菓子やジュース類など


●複合糖質
でんぷんが代表的で、ブドウ糖が鎖状に連結されています。鎖の長さが長いために、この炭水化物はゆっくりと消化吸収され、血糖値は比較的緩やかに上昇します。

多く含まれる食材例:ごはんやパン、麺類、イモ類など


でんぷん(複合糖質)が豊富なごはんは、ゆっくりと消化吸収され、食後の満腹感が持続するので、余計なおやつを控えるのに役立ちます。


<糖質が少なめのおすすめの間食>
ゆで卵、チーズ、ナッツ(食塩/油不使用)、あたりめ、サラダチキン、ハイカカオチョコレートなど


<間食の適正エネルギー量>
1日の栄養素の不足が補えるものにしましょう。カロリーで言えば、回数や量・質を考え、200kcal程度の間食が適量だと言われています[11]。

糖質に気を付ける際のおすすめ食材

次に、日常の食事に取り入れたいおすすめの食材をご紹介します。

・白米に玄米・雑穀を加えてみましょう

玄米や雑穀などを加えることで、食物繊維の摂取量を増やすことができます[12]。また、つぶつぶ感があり、よく噛んで食べることで満腹感を高めることもできます。

・タンパク質食品をしっかりと

タンパク質は筋肉の減少を防ぎ、糖質の利用をサポートします。お肉や魚、卵、大豆や大豆製品などのたんぱく源を積極的に摂取しましょう。動物性と植物性をバランスよく摂り、1回の食事で片手のひらサイズが目安です[12,13]。

・野菜や海藻、きのこ類を積極的に取り入れる

野菜、海藻、きのこ類は、基本的に糖質やカロリーが低く、食物繊維の摂取にも役立ちます。野菜の量は1日350gが目安です[12,14]。

・糖質をコントロールする食材を上手に活用しましょう。

最近では、スーパーやオンラインで入手できる糖質オフのごはんやパン、レトルト食品、調味料などが多くあります。これらを取り入れ、食事のバランスを考えるのもおすすめです。

まとめ

糖質制限ダイエットはもともと、糖尿病患者向けの治療食として作られました。バランスを欠いたダイエットは長続きしにくく、健康に悪影響を与える可能性があります。自己判断での過度な制限は避け、必ず専門家の指導を受けましょう。

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参考文献

[1] 炭水化物 / 糖質 - e-ヘルスネット - 厚生労働省
[2] 食物繊維の必要性と健康 - e-ヘルスネット - 厚生労働省
[3] 「日本人の食事摂取基準(2020年版)」厚生労働省
[4] インスリン - e-ヘルスネット - 厚生労働省
[5] 食後高血糖- e-ヘルスネット - 厚生労働省
[6] 「糖質制限について」,独立行政法人地域医療機能推進機構
[7] 山本祐司,「ケトジェニックダイエットがヒト の健康に及ぼす影響について」,公益社団法人 日本農芸化学会
[8] ごはんは太るは誤解?(農林水産省)
[9] お米と健康・食生活
   ※腸内環境・免疫力とお米のカンケイ参照
[10] こどもの糖尿病(インスリン依存型)ガイドブック(国立保健医療科学院)
   p7<資料上p232>あたりを参照
[11] 間食のエネルギー(カロリー) - e-ヘルスネット - 厚生労働省
[12] 日本食品標準成分表(八訂)増補2023年
[13] たんぱく質 - e-ヘルスネット - 厚生労働省
[14] 野菜、食べていますか? - e-ヘルスネット - 厚生労働省

この記事を書いた人

横川仁美
管理栄養士
管理栄養士の資格を取得後、保健指導や重症化予防を中心に2500人以上へのアドバイス提供。 現在は食専門ライター×料理研究家として執筆・監修、 また企業のブランドイメージに沿ったレシピ提案を行っている。

監修者紹介

木村眞樹子医師
東京女子医科大学医学部卒業後、循環器内科、内科、睡眠科として臨床に従事している。 妊娠、出産を経て、また産業医としても働くなかで予防医学への関心が高まった。 医療機関で患者の病気と向き合うだけでなく、医療に関わる前の人たちに情報を伝えることの重要性を感じ、webメディアで発信も行っている。

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