※電話受付:日曜・年末年始休業

受付時間:9:00-17:00(月~土) ※日曜・年末年始休業

糖尿病でも外食OK!血糖値を上げない食べ方とおすすめメニュー3選

「外食は血糖値が乱れるから行かないほうが良いよね?」と、外食を諦めていませんか?確かに、外食は主食の量が多い、野菜のメニューが少ないなどで血糖値が乱れやすいとされています。しかし、あるポイントをおさえればこわくはありません。外でも不安なく、食事を楽しめるコツを管理栄養士が解説します。

目次


糖尿病でも外食はしてよい?

血糖値のコントロールが気になり、なかなか外食にいけない方もいるでしょう。確かに、外食は量が多い、味付けが濃いなどで自炊よりも血糖値のコントロールは難しいのは事実です。しかし、外食でもあるポイントをおさえれば血糖値のコントロールは可能です。


血糖値を気にせず外食を楽しむためにも、まずは外食がなぜ血糖値の乱れにつながりやすいかを知ったうえで、血糖値の急上昇をおさえる外食の食べ方のコツを理解しましょう。

外食の注意点


まずは、外食がなぜ血糖値のコントロールが乱れやすいといわれているかを確認しましょう。これを知ることで今後の血糖値のコントロール対策がとりやすくなりますよ。

量が多い

外食は基本的に量が多いです。一般的に、ごはんは普通盛りでも250~300gもあります。糖尿病の食事療法の指標である「糖尿病食事療法のための食品交換表」では、1600kcalの指示エネルギーの場合、1食のごはんの量は150gです。このことからも、外食のごはんの量の多さが分かりますよね。


さらに、場所によってはおかずの量も1人前以上となり、食塩の摂り過ぎにもつながるおそれがあるのです。糖尿病がある方は高血圧のリスクも高くなるとされるため、食塩の摂取量にも気を付けたいものです。

あぶらや糖が多い

外食では、おいしさを追求するため、味付けが濃かったりあぶらの使用量が増えたりします。そのため、血糖値の急上昇がおきやすいだけでなく、油の作用で血糖値が下がりにくくなるおそれもあるのです。さらに、油はカロリーが高く、摂り過ぎは体脂肪増加の原因にもなります。体脂肪が増加するとインスリンが効きづらい状態につながり、さらなる血糖値の上昇が起きるおそれもあります。


以上のことから、血糖値と体重、どちらのコントロールのためにも外食を頻回に利用するのは避けたいのも事実です。

野菜や魚のメニューが少ない

一般的に、野菜や魚の摂取量が多いと血糖値のコントロールがしやすいとされています。しかし、外食は野菜や魚のメニューが少なく、自然と肉や加工品などの摂取が増えてしまいます。特にソーセージやベーコンなどの肉の加工品の摂取が多いと、血糖値の乱れにつながるだけでなく、高血圧症や脂質異常症のリスクが高まるおそれもあるのです。

外食で血糖値を上げすぎないコツ5選


外食がなぜ血糖値が上がりやすいかがわかりましたね。次に、血糖値を上げにくい外食のポイントを5つ紹介します。血糖値を気にせずに外食を楽しむためにも、以下を意識してみてください。


1. ごはんは小盛りにする
2. 定食や野菜のサイドメニューを積極的に選ぶ
3. 野菜やたんぱく質から先に食べる
4. よく噛む
5. アルコールは20g程度にする


まずは血糖値が上がりやすいごはんを、あなたの適正量に出来る限り近づけましょう。ごはん小盛りで約茶碗1杯程度なので、基本は小盛りを選んでください。ごはんを減らした分、満足感を高めるためにも、小鉢の多い定食系を選んだり野菜のサイドメニューを追加したりするようにしてください。


麺類を食べるときは食物繊維が不足しやすいため、もやしやわかめなどのトッピングを追加できるとよいですね。さらに、食べ方も重要です。野菜やたんぱく質から食べたりよく噛んだりすることで、血糖値の上昇が緩やかになることがわかっています。


またお酒については、医師からの指示がない限り飲んでも問題はありません。しかし、合併症予防としてアルコール換算で20gまでにすると良いですね。各お酒の純アルコール量20g相当の量は以下です。


(表1)純アルコール量20g相当の酒量

お酒の種類
ビール中瓶1本(500ml)
日本酒1合(180ml)
ハイボール3合缶1本(原液60ml)
ワインワイングラス2杯(200ml)

このように、量や食べ方を意識すれば、外食でも血糖値の良好なコントロールは叶います。

外食組み合わせ例3選


外食での血糖値の急上昇をおさえるポイントを紹介しましたが、いざ実践するとなると、どんなものを食べたら良いか迷う方も多いのではないでしょうか。そこで、血糖値を上げすぎない外食例を紹介します。まずはここを真似て、徐々にコツをつかんでくださいね。

焼さば定食

【栄養価】
カロリー 615kcal
たんぱく質 32g
脂質 22g
炭水化物 84g
食塩相当量 4.7g


さばといった青魚の脂は、脂肪燃焼や血液サラサラ作用も期待できます。さらに、魚にはビタミンDやカルシウムなど、骨の健康を維持する栄養素も豊富です。実は、糖尿病がある方は、骨粗鬆症や骨折のリスクが約2倍高まるとされています。骨の健康を維持するためにも魚は積極的に選びたいですね。


注意点としては、塩さばは食塩が多いため、高血圧対策として漬物や味噌汁を摂り過ぎないようにしましょう。例えば、味噌汁を残した場合、4.7gから2.7g程度まで食塩相当量が減らせますよ。また、さばは脂が多い種類のため、カロリーオーバーとならないよう、ごはんは必ず小盛りにしてください(外食での小盛りの目安:約160g)。


※【大手外食チェーン3社の小盛り平均より算出】

かけそば+鶏天+卵+わかめとねぎ

【栄養価】
カロリー 515kcal
たんぱく質 32g
脂質 16g
炭水化物 65g
食塩相当量 3.5g


一般的にそばは、うどんや中華麺よりもGI値(グリセミック・インデックス)※が高いため、麺類を食ぶ際は積極的にそばを選べると良いですね。しかし、麺類全般の傾向として、たんぱく質や食物繊維が不足しやすい、早く食べ終えてしまうため、血糖値は上がりやすいです。そのため、鶏肉や卵、わかめやねぎなどで必要な栄養素を補ってあげましょう。


また、よく噛むことも血糖値の上昇を穏やかにする作用が期待できますので、ぜひ意識してみてください。


※GI値(グリセミック・インデックス):血糖値の上昇のしやすさの指標のこと。低いほど血糖値の上昇は緩やかとされる。

牛皿定食にサラダ

【栄養価】
カロリー 740kcal
たんぱく質 27g
脂質 29g
炭水化物 37g
食塩相当量 3.3g


手軽に食べられる牛丼ですが、実はたれがごはんに染み込むことで、必要以上に糖や食塩を摂り過ぎてしまい、血糖値や血圧上昇のおそれがあるのです。さらに、サラサラとした形状にもなり、かき込みやすくなるため早食いにつながります。


早食いは血糖値の上昇や食べ過ぎの原因のため、このデメリットを解消するためにもごはんと牛皿の定食形式にしてみましょう。余分な調味料は皿に残りますし、ごはんにたれがしみ込まないため、早食い防止にもつながります。ごはんを小盛り(約160g)にすることや、野菜の追加も忘れずに意識してくださいね。

食べる楽しみは諦めなくていい

外食はごはんの量が多い、味付けが濃いことから、血糖値の乱れにつながるおそれがあります。しかし、組み合わせや食べ方を意識すれば、血糖値を気にすることなく楽しめます。ポイントは、ごはんの小盛り、野菜とたんぱく質をそろえることです。また、食べ方も非常に重要で、野菜やたんぱく質を先に食べたりよく噛んだりすることで、良い血糖値のコントロールにつながるのです。外食の特徴を知り、心から楽しみましょう。

SNSでシェア

参考文献

厚生労働省|あなたの飲酒量はどれくらいでしょうか?

この記事を書いた人

佐久間愛子
管理栄養士
管理栄養士として介護・医療業界を経験。病院経験を経て予防医療の大切さに気づき、現在は特定保健指導や糖尿病の重症化予防に取り組む。今までの経験を活かし、栄養・健康分野のライターとしても活動中。

監修者紹介

木村眞樹子医師
東京女子医科大学医学部卒業後、循環器内科、内科、睡眠科として臨床に従事している。 妊娠、出産を経て、また産業医としても働くなかで予防医学への関心が高まった。 医療機関で患者の病気と向き合うだけでなく、医療に関わる前の人たちに情報を伝えることの重要性を感じ、webメディアで発信も行っている。

おすすめ商品

関連記事

  • お酒の飲み過ぎは要注意!糖尿病のリスクについて知っておこう

    お酒を飲み過ぎるとどうなる? お酒を飲むと、アルコールは2割が胃で、残りは小腸で吸収され、肝臓に運ばれます。アルコールは肝臓で分解され、「アセトアルデヒド」という物質になります[2]。 一般的に、顔が赤くなったり、頭痛や吐き気といった二日酔いの症状は、このアセトアルデヒドが肝臓で十分に処理しきれず、体内に蓄積されたものと言われています。しかし、実際には、二日酔いの症状があってもアセトアルデヒドが検出されることが稀であり、体質によっては、アセトアルデヒドの血中濃度が低くても、二日酔いの症状が出ることがわかっています。 また、アルコールの刺激によって胃が荒れたり、利尿作用によって脱水症状が引き起こされたりすることなども、二日酔いの不快な症状を引き起こす要因とされています。 このように、二日酔いの症状の原因は、はっきりせず、さまざまな要因が絡み合って起こると考えられますが飲み過ぎると症状が出やすくなるため、過度の飲酒には注意が必要です[3]。 糖尿病とアルコールの関係性は? アルコールを過剰に摂取すると、二日酔いの原因になるだけではありません。肥満や糖尿病の原因となります。アルコールを分解する際、肝臓で中性脂肪の合成が促進されるため、お酒の飲み過ぎによって、内臓に脂肪が蓄積されやすくなります。また、その蓄積した脂肪の影響や膵臓からのインスリン分泌が抑えられることで、血糖値の上昇を引き起こすことがあります。これにより、インスリンの働きを妨げるインスリン抵抗性が進行し、糖尿病のリスクが高まります[4,5]。 糖尿病が進行すると、全身の細い血管や神経に障害が生じ、以下の「三大合併症」が発症することがあります[6]。 <糖尿病の三大合併症> ● 糖尿病網膜症 高血糖によって眼の網膜の細い血管が傷む合併症で、進行すると失明に至る可能性があります。初期には自覚症状がないため、年に1回以上の眼底検査が推奨されます。 ● 糖尿病腎症 高血糖が腎臓の細い血管をむしばみ、進行すると腎臓の機能が低下していきます。最終的には身体の余分な水分や老廃物を尿として排泄できなくなり、透析治療が必要になることがあります。 ● 糖尿病神経障害 高血糖によって全身の細い血管が傷ついたり、神経線維の変性により手足の神経に異常が生じ、痛みやしびれなどの感覚異常が現れる合併症です。進行すると、足潰瘍や足壊疽を引き起こすことがあります。 お酒の“適量”ってどのくらい? 2024(令和6)年から実施された厚生労働省が推進する国民健康づくり運動「健康日本 21(第三次)」では、生活習慣病のリスクを高める量(1日当たりの純アルコール摂取量が男性 40g以上、女性 20g以上)を飲酒している者の割合を減らすことを目標としています。 そのため、お酒の量(ml)だけでなく、お酒に含まれる純アルコール量(g)に注目することが重要です。 純アルコール約20gに相当するお酒の量は、以下の通りです[7,8]。 <純アルコール約20gに相当する酒量> 種類アルコール度数量 ビール5%中瓶(500ml) 日本酒15%1合(180ml) ワイン(赤)14%180ml 焼酎25%110ml ウィスキー43%60ml ※飲酒量は性別、年齢、体質による個人差があるため、これらの量は個々人の許容量を示したものではありません。「飲酒量(純アルコール量)が少ないほど、飲酒によるリスクが少なくなる」という報告もあります。 ※上記は一般的な目安量です。実際、飲まれる商品のアルコール度数(%)やサイズをご確認ください。 <「カロリーゼロ」・「糖質ゼロ」は「ゼロ」ではない!?ゼロ飲料の飲み過ぎに注意!> ビールや発泡酒などに「カロリーゼロ」・「糖質ゼロ」と表示されていても、カロリーや糖質は「ゼロ」ではないことをご存知でしょうか。食品表示基準に基づき、飲料で100mlあたり、熱量5kcal未満、糖質0.5g未満であれば「カロリー・糖質ゼロ」と表示できます。くれぐれも「ゼロ」と表記されているからといって、飲み過ぎには注意しましょう[9]。 また、一般的なお酒には以下の糖質量が含まれています。ビールや日本酒は多い一方で、焼酎やウイスキーなどの蒸留酒は少ない傾向にあります[10]。飲酒の際は参考にしてみてください。 <純アルコール約20gに相当する各お酒による糖質量> 種類量カロリー糖質量 ビール中瓶(500ml)195kcal15.5g 日本酒1合(180ml)184kcal6.7g ワイン(赤)180ml122kcal1.8g 焼酎110ml158kcal0g ウィスキー60ml140kcal0g 【参考】文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」 ※ビールは淡色/日本酒は清酒(純米酒)/焼酎は単式蒸留しょうちゅう/ワインはぶどう酒(赤)を基に、いずれも差し引き法による利用可能炭水化物量にて算出 お酒の飲み過ぎを防ぐ工夫は? ここで、お酒の飲み過ぎを防ぐ方法をいくつかご紹介します[8]。 ● 空腹の状態は避ける  空腹時にお酒を飲むと、アルコールの刺激によって胃酸が多く分泌され、胃や腸の粘膜を痛める原因に。また、アルコールの吸収スピードが早まり、酔いが回りやすくなります。アルコールを摂取する際は、食事を取りながら空腹状態を避けるようにしましょう。 ● 水分を摂る  お酒を飲むと利尿作用によって脱水症状になりやすくなります。お酒を飲む際は、水も併せて摂ることで飲酒量を調整し、脱水症状を防ぎましょう。 ● 強いお酒は薄めて飲む  焼酎やウイスキーなどアルコール度数の高いお酒は、胃腸への刺激が強く、酔いが回りやすくなります。これが肝臓への負担を増す原因にもなります。水やソーダで薄めて、ゆっくりと楽しむことが大切です。 ● 一口飲むたびにコップをテーブルに置く  お酒を手に持ち続けていると、ついつい飲み過ぎてしまう原因に。一口飲むごとにコップをテーブルに置くことで、自然と飲むペースを抑えることができます。 ● 周囲の人に「お酒を飲めない」ことを事前に伝えておく  お酒を控えている人や飲めない体質の人は、事前に周囲の人にそのことを伝えておくと、無理な勧めを避けられます。自分のペースで飲むことができ、健康管理に役立ちます。 <休肝日を設けることも忘れずに> お酒を飲んだ後、肝臓は休みなく働いています。毎日連続して飲酒すると、肝臓に障害が出る可能性があります。週に2日は休肝日を設け、肝臓を休ませましょう。難しい場合は週1日でも設けるように心掛けましょう。 健康管理におすすめのおつまみリスト お酒を飲む際は、おつまみの内容にも気をつけましょう。アルコールには、食欲増進作用があるため、おつまみを食べ過ぎてしまうことがあります。これがカロリー、脂質、塩分の摂取量増加につながり、糖尿病や脂質異常症、高血圧などのリスクを高めることがあります。お酒を楽しむ際には、以下のようなおつまみを選び、身体をいたわりながら飲むことをおすすめします[11]。 ●野菜・海藻類 野菜や海藻類には、食物繊維が含まれ、急激な血糖値の上昇を抑えるのに役立ちます。飲み始めにサラダや刺身のツマを食べると良いでしょう。ただし、ドレッシングや調味料が多い料理は、脂質や塩分の摂り過ぎにつながるので注意が必要です。 例)野菜・海藻サラダ、野菜スティック、キャベツ、枝豆、もずくなど ● タンパク質がメインの料理 肉や魚、大豆製品などのタンパク源は、アルコールによって負担がかかった肝臓を修復する助けになったり、アルコール分解を助ける酵素の材料となります。タンパク質を摂取することで、肝臓の代謝機能をサポートすることが期待できます。 例)刺身、豚しゃぶ、冷奴、焼き鳥(塩)、卵焼き、枝豆、生ハムサラダ、魚の塩焼きなど ●ビタミンB1を含む料理 アルコールを分解・代謝する際に、大量のビタミンB1が消費されます。飲酒する際は、積極的にビタミンB1を含むものを摂りましょう。豚肉や枝豆はタンパク質を摂りながら、ビタミンB1も摂れるのでおすすめです。 例)豚しゃぶ、冷奴、焼き鳥(レバー)、枝豆、など 逆に、脂質が多いおつまみは避けるようにしましょう。 <避けたいおつまみ> 唐揚げ、天ぷら、ポテトサラダ、マカロニサラダなど 定期的に健康診断も受けよう! 肝臓は沈黙の臓器と言われ、肝臓に障害が起こっても自覚症状がなく、気づいたときには進行している可能性があります。糖尿病も同様に、進行してから気づくことが多い病とされています。病気を予防するには節酒に努めるだけでなく、健康状態を正しく把握するために定期的な健康診断を受けることも重要です。肝機能をはじめ、糖尿病の指標となる空腹時血糖値やヘモグロビンA1c(HbA1c)※などを確認することで早期予防・発見・治療につなげていきましょう。 ※赤血球中のヘモグロビンが糖と結合している割合を示す値で、過去1~2ヶ月の血糖値の平均値を反映しています。

  • 糖尿病の方も安心!コンビニ食の上手な活用方法を管理栄養士が解説

    コンビニ食の注意点 まずはコンビニ食の特徴を理解しましょう。理解しておくことで、コンビニ食を上手に活用するヒントが見つかりますよ。 1. 主食の量が多い 一般的な弁当のごはんの量は約250g、普通茶碗1.5杯相当です。そのため、お弁当のごはんを食べきることでカロリーや糖質オーバーにつながり、血糖値の急上昇や体重増加のおそれも。 ごはんを1/3程度残して次の食事に取っておいたり、ひとまわり小さいサイズのお弁当にしたりするなどで対策してみましょう。(※1) 2. 塩分が高い コンビニ弁当の食塩相当量は、3~4g。日本人の食事摂取基準(2020年版)では、目標とする一日の食塩相当量は男性7.5g未満、女性6.5g未満です。また、高血圧症のある方は一日6.0g未満が目標とされていますよ。 このことからも、コンビニ弁当の塩分の高さがうかがえますね。塩分の摂り過ぎは高血圧症のリスクが高まるだけでなく、食欲増進作用があると考えられているため、塩分摂取量には気をつけたいですね。(※1,2,3,4) 3. 脂質が高い コンビニ弁当は肉や揚げ物類が多いのも、選びにくい理由のひとつです。一般的に、肉類や揚げ物の弁当は脂質が高いです。カロリーも高くなりやすいため、カロリーオーバーにつながり、肥満を引き起こすおそれも。 肥満や高脂肪食は、インスリン(血糖値を下げるホルモン)が効きにくくなる要因にもなるため、脂質の摂取量にも気をつけたいところですね。(※4,5) 4. 食物繊維やたんぱく質が不足しやすい 唐揚げ弁当やハンバーグ弁当など、メインとごはんが中心の種類は、食物繊維が不足しやすいです。食物繊維の不足は、血糖値の急上昇につながることもあります。 また、パンだけ・ごはんだけといった主食の単品食べも、食物繊維やたんぱく質が不足しやすいので、単品食べは避けましょう。(※4,6) 「組み合わせ方式」がおすすめ! コンビニの特徴が分かったところで、どうしたら血糖値の急上昇や体重増加を抑えられるのかが気になりますよね。コンビニ食を利用するときのポイントを、理由とともに解説していきます。 1. 主食+主菜+副菜を基本に 血糖値の良好なコントロールには、「主食+主菜+副菜」が大切です。このバランスが整うと、食べたものを効率的に体や脳を動かすエネルギーに変えたり、満足感を得つつカロリーや糖質が抑えられたりなどが期待できます。 しかし、弁当単品でバランスを整えるのは難しいため、単品の総菜を組み合わせる方法がおすすめですよ。(※7) 2. 付属の調味料は全部かけない 塩分の摂り過ぎ防止のためにも、付属の調味料は全部かけないようにしましょう。塩分の摂り過ぎは、高血圧症のリスクが高まるだけでなく、食欲が増してしまうおそれもあるためです。 一般的な醤油小袋1個分の塩分は、0.7g程度のため、付属の調味量をかけない・少量にするだけでも、塩分摂取量が減らせますよ。(※1,3) 3. 食べかたも意識する 食べかたも、良好な血糖値を維持する方法のひとつです。野菜やたんぱく質から先に食べる、という「食べる順番」を意識すると、血糖値の急上昇が抑制できることがわかっています。 さらによく噛んで、ゆっくり食べると血糖値の上昇が緩やかになりやすいだけでなく、満足感も高まるため、食べ過ぎ防止にもつながりますよ。これらは、今すぐできる方法なので、ぜひ意識してみてくださいね。(※7,8) 組み合わせ例6選 コンビニの総菜を組み合わせて利用するメリットがわかりましたが、いざ実践となると何を選んでよいかわからないですよね。そこで、コンビニでの組み合わせ例を6つ紹介します。ここから自分なりにアレンジしていくのもおすすめですよ。 おにぎり/生野菜サラダ/ゆで卵 【栄養価】 カロリー 295kcal たんぱく質 10.9g 脂質 9.6g 糖質 48.6g 食物繊維 2.6g 食塩相当量 0.9g おにぎり1個だと物足りなさを感じやすいですが、野菜やたんぱく質と合わせることで、満足感を高めつつカロリーや糖質も抑えられます。生野菜やゆで卵を使うと、噛み応えが生まれ、自然と噛む回数が増えます。噛む回数を増やすと満足感が高まり、食欲が抑まりやすいでしょう。 さらに、サラダやゆで卵を先に食べると、血糖値の急上昇の防止につながりますよ。(※7,8) ミックスサンド/ギリシャヨーグルト/ミネストローネ 【栄養価】 カロリー 415kcal たんぱく質 23g 脂質 17.9g 糖質 38.0g 食物繊維 3.6g 食塩相当量 2.4g パンを食べたいときに、おすすめの組み合わせです。あんぱんやチョコパンなどの菓子パン類は、カロリーや糖質が高いので、血糖値の急上昇を引き起こしやすい種類です。野菜やたんぱく質が含まれているミックスサンドを選択した方が、食物繊維やたんぱく質、糖の代謝にかかわるビタミンなどが摂りやすいですよ。 さらに、ミネストローネといった具沢山の汁物を付けると、バランスがより整いやすくなるでしょう。ギリシャヨーグルトは、たんぱく質が摂りやすい食べ物のひとつです。カルシウムが摂れるのもよいですね。インスリンの作用が不足すると、骨の代謝異常が起き、骨がもろくなりやすいこともあるので、カルシウムの補給もぜひ意識してくださいね。(※7,9,10)。 もち麦入りパックご飯/照り焼きチキン/海藻サラダ 【栄養価】 炭水化物 478kcal たんぱく質 26.6g 脂質 16.2g 糖質 47.5g 食物繊維 5.3g 食塩相当量 3.9g もち麦や玄米などの「全粒粉穀類」は、白米よりもビタミンB群やミネラルが豊富です。さらに、インスリン(血糖値を下げるホルモン)の生成にかかわるマンガンも白米より多い傾向のため、血糖値が気になるひとは、全粒粉穀類を取り入れてみてはいかがでしょうか? さらに、鶏肉でたんぱく質を補給するとともに、海藻類やもち麦に含まれる水溶性食物繊維によって、血糖値の上昇を穏やかにしたり脂質の排出を促したりする作用が期待できますよ。 (※11,12,13,14) 冷やしうどん/卯の花/パックめかぶ 【栄養価】 カロリー 616kcal たんぱく質 13.8g 脂質 18.2g 糖質 95.3g 食物繊維 8.3g 食塩相当量 3.9g 麺類は野菜やたんぱく質が不足しがち。そのため、別でたんぱく質や食物繊維を足せるとよいですね。卯の花の主な材料であるおからは、たんぱく質だけでなく食物繊維も豊富です。 また、めかぶは糖や脂質の吸収を抑える水溶性食物繊維が多く含まれていますよ。(※14,15,16) カップ麺/ゆで卵/スティック野菜 【栄養価】 カロリー 619kcal たんぱく質 18.4g 脂質 34.6g 糖質 55.8g 食物繊維 5.9g 食塩相当量 7.9g(汁を残すと4.9g) カップラーメンは高塩分・高脂質なだけでなく、ビタミンやミネラルが不足しやすい食品です。そのため。カップラーメン単体ではエネルギー代謝が上手くいかずに、血糖値の急上昇や、脂肪が溜まりやすくなるおそれも。 食べるときは、たんぱく質と食物繊維を足すように意識したいですね。また、カップラーメンの塩分は約6gと、高塩分であるのも気をつけたいところです。汁を残すことで、1/2~1/3の減塩になりますよ。(※16,17) 幕の内弁当/無塩のトマトジュース 【栄養価】 カロリー 647kcal たんぱく質 25.1g 脂質 10.0g 糖質 106.1g 食物繊維 13.8gg 食塩相当量 4.5g 組み合わせるのが大変なときに。幕の内弁当は、さまざまな食材が入っているので、バランスが整いやすい弁当のひとつです。 そんな幕の内弁当に手軽に合わせるのが、無塩のトマトジュースです。トマトジュースに含まれるリコピンが、血糖コントロールに役立つと考えられているためです。食前30分前にトマトジュースを飲むことで、血糖値の上昇が抑制される研究結果もありますよ。塩分の摂り過ぎ防止のためにも、必ず「無塩」のトマトジュースにしてくださいね。(※18) コンビニ食でも血糖値のコントロールはできる 自炊が難しい方や、忙しいときにコンビニは便利ですよね。しかし、種類によっては主食が多かったり、カロリーや塩分が高かったりなど、良好な血糖値のコントロールの妨げになるおそれも。 満足感を得ながら血糖値の良好なコントロールをかなえるには「組み合わせ方式」がおすすめです。主食+主菜+副菜を意識することで、いままで食べるのを我慢していたメニューも、楽しめるかもしれませんよ。 さらに、食べる順番や時間もぜひ意識してみてくださいね。オリジナルの組み合わせを楽しみながら、血糖値を良好にコントロールしていきましょう。

  • 糖尿病でも楽しめる!誕生日のお祝いメニューのアイデア

    血糖値を上げにくくする食事のコツ 糖尿病の食事療法には、血糖コントロールが欠かせません。まずは、血糖値を上げにくくする食事のコツからおさらいしましょう。 1.食材選びのコツ 食材選びのコツは、食物繊維が多い物を選ぶこと。食物繊維は血糖値の上昇を穏やかにする働きがあるため、積極的に摂取しましょう。(※1) <食物繊維の多い食材の例> ●穀物 玄米、ライ麦パン、全粒粉パンなど ●野菜 野菜類全般、きのこ類 ●海藻類 海藻類全般 ●豆類 大豆、納豆、小豆など また、GI値の低い食材を選ぶのもおすすめです。GI値(グリセミック指数)とは、食品の摂取後の血糖値の上がりやすさを数値化したもの。数値が高いほど血糖値が上がりやすくなります。食物繊維の多い物、精製されていない茶色いもの(玄米、そばなど)はGI値が低い傾向にあります。 ●穀物 玄米、そば、全粒粉パンなど ●野菜 葉物野菜、きのこ類 ●豆類 大豆、納豆、小豆など ●果物類 りんご、いちご、みかんなど ●肉類・魚介類 肉類・魚介類全般 2.調理のコツ 糖尿病食は、1人ひとりの体重、性別、年齢、生活習慣などに応じて摂取カロリーを定めています。揚げ物などの脂っこい料理を中心にしてしまうと、あっという間に1食の摂取カロリーに到達してしまうため、なるべく脂質を抑えた調理法がおすすめです。 具体的には、オーブンや魚焼きグリルで焼く、蒸し器で蒸す、電子レンジで調理するといった方法があります。 ただし、悪者扱いされがちな脂質も、上手に利用すれば食事の満足度を高められます。脂質は吸収が遅いという特徴があるため、満腹感を持続しやすいのです。さらに糖質もゆっくり吸収されるため、急激な血糖値の低下を防ぎ、空腹感を抑えやすくなります。 脂質を極限まで抑えた食事ではなく、サラダに少量のアマニ油やオリーブオイルをかけたり、蒸し野菜のつけダレにえごま油を加えたりして、適量の脂質を摂るとよいでしょう。 3.食べ方のコツ 食べ方にもおすすめの順番があります。 ①野菜など食物繊維の多い物 ➁肉や魚などたんぱく質が多い物 ③ごはんやパンなど炭水化物の多いもの この順番に食べると、血糖値の急上昇を防げるため、普段から意識してみましょう。 また、セカンドミール効果にも注目です。セカンドミール効果とは、最初に摂った食事が、次にとる食事(セカンドミール)の後の血糖値にも影響を及ぼす現象のこと。(※2)例えば、朝食(ファーストミール)に食物繊維が豊富な食事を摂ると、昼食(セカンドミール)後の血糖値の上昇が緩やかになることが知られています。そのため、なるべくどの食事でも食物繊維をたっぷり摂るよう意識しましょう。 糖尿病に配慮した手作りお祝い膳のアイデア 誕生日にふさわしい、華やかなお祝い膳のアイデアをご紹介します。前菜・メインディッシュ・デザートの順に食べると、血糖値が上がりにくくなります。 おすすめの前菜 食物繊維がたっぷり摂れる前菜からご紹介します。 ・白身魚のカルパッチョ タイやサーモンなど、白身魚を使ったカルパッチョは、前菜の定番。魚からたんぱく質が摂れます。サラダ風に葉物野菜をたっぷり添えると、食物繊維やビタミン類も摂れますよ。ドレッシングはレモン汁やオリーブオイルの風味が立つので、塩分が少なくてもおいしく感じられます。 ・カプレーゼ風ピンチョス ミニトマトとひとくちモッツアレラチーズ、バジルまたは大葉をピックに刺すと、カプレーゼ風ピンチョスの完成。短時間で作れるだけでなく、低カロリーです。食卓を華やかに彩ってくれるため、あと一品ほしいときにおすすめ。 ・きのことサラダチキンのマリネ 食物繊維をおいしくたっぷり摂るなら、きのこを焼いてかさを減らしましょう。焼いたきのこと、ヘルシーなサラダチキンをマリネすると、さっぱりおいしい前菜が作れます。きのこを焼くことで風味がよくなり、薄味でもおいしくいただけます。 ・ごぼうのポタージュ 無理なく食物繊維をたっぷり摂れるのが、ごぼうのポタージュです。ごぼうは焼いてもかさが減らず、たくさん食べるのは難しいこともありますが、ポタージュならスルッと摂取できます。前菜は冷たいものが多いので、温かいスープを出すと満足度が高まります。牛乳や生クリームを使わず、豆乳で仕上げるのがおすすめです。 おすすめのメインディッシュ 簡単に作れる、肉と魚のメインディッシュをご紹介します。 ・簡単ローストビーフ 難しそうに見えるローストビーフですが、実は牛もも肉の表面をしっかり焼いて、熱湯を入れた炊飯器で1時間程度保温するだけで作れます。牛もも肉は脂質の少ない部位なので、カロリーを抑えやすいのもポイント。薄切りなので少量でもかさが多く見えて、見た目からも満足感が得られます。 ・マグロのステーキ 魚が好きな方は、刺身用のマグロの柵をステーキにしてみましょう。表面をサッと焼き、中心部をレアに仕上げることで、焼いてもパサつきが気になりません。肉のステーキと同じように、にんにくと一緒に焼きましょう。にんにくの味と香りで少ない塩分でもおいしくいただけます。 おすすめのデザート 特別な日なので、デザートにもこだわってみましょう。お菓子作りが苦手な人でも簡単に作れるアイデアをご紹介します。 ・糖質オフプチシューのシュークリームタワー 市販の糖質オフプチシューを使い、シュークリームタワーを作りましょう。通常のシュークリームタワーは生クリームを使って積み重ねますが、カロリーを控えるために、水切りヨーグルトを使うのがおすすめ。市販の糖質オフプチシューを2袋使うとボリュームが出て、見栄えがよくなりますよ。仕上げに好みのフルーツを周りに飾ってみましょう。 ・フルーツポンチ あまり甘いものが得意でないなら、さっぱりとしたフルーツポンチはいかがでしょうか。季節の果物を同じ大きさに切りそろえ、少量の白玉とあわせたら、カロリーゼロのサイダーを加えます。色とりどりの果物が美しく、パーティーにピッタリです。 誕生日などに外食するときのポイント 誕生日など特別な日は、外食でおいしいものを食べたい方もいるはず。ここでは、糖尿病の方が外食するときのポイントをお伝えします。 ゆっくり食べるコース料理は血糖値を上げにくい 外食時は、単品料理を頼むより、コース料理を頼みましょう。コース料理はカロリーが高そうなイメージを持たれやすいのですが、ゆっくり料理を食べること、実はあまり量が多くないことが要因となり、血糖値が上がりにくいと言われています。 中でも、フランス料理のコースがおすすめです。和食ではご飯や寿司、中華では点心やチャーハン、イタリアンではパスタ・ピザ・リゾットなど、炭水化物が主役の料理が単品で提供されることが多くあります。一方、フランス料理のコースでは、炭水化物がメインとなる単品料理はあまり見られません。パンが時折提供されますが、1~2切れ程度で済むこともあり、炭水化物の摂取量を抑えやすい傾向にあります。 「単品料理のほうが自分でコントロールできていいのでは?」と思われるかもしれませんが、普段節制していると、あれもこれもとなりやすく、コントロールしにくいのです。また、どれだけ食べればいいか判断しづらいこともあるので、やはりコース料理がおすすめです。 また、コース料理を提供するお店は、お客の要望に応えてくれることがあります。ある程度ランクが上のコースしか対応していないこともありますが、「野菜を多めにしてほしい」「油を控えた料理を増やしてほしい」「塩分を少なくしてほしい」など一度相談してみるとよいでしょう。 翌日以降の食事は気を付ける いろいろと食事のコツなどをお伝えしましたが、誕生日などの特別な日くらいは好きなものをみんなと同じように食べてもよいと考えます。その日は思い切り楽しんで、次の日からヘルシーな料理にしたり、薄味の料理にしたりして、調整しましょう。ただし、お酒の飲み過ぎは理性が鈍り、暴飲暴食の原因となるため、嗜む程度にしてくださいね。 まとめ 糖尿病の食事療法の基本は「食べてはいけないものはない」です。何を食べてもよいのですが、食べる物の種類や順番には気を付けましょう。誕生日などのお祝い膳のときも同じで、なるべく食物繊維の多い野菜から食べ始め、メインディッシュの肉や魚、デザートの順に食べ進めましょう。 お店で食事するときは、食べる量やスピードがコントロールできる、コース料理がおすすめです。お店によってはコース内容をリクエストできることもあるため、一度要望を伝えてみるとよいでしょう。また、おいしいものを食べた次の日は、ヘルシーで薄味な料理にするなど、調整できるとベストです。 これらのポイントを覚えておいて、1年に一度の特別な日を心置きなく過ごしてくださいね。

前の記事 コラム一覧へ戻る