
糖尿病でもおやつにさつまいもはOK?血糖値を上げにくい食べ方を管理栄養士が紹介

糖尿病でもおやつは食べてよい?
おやつにはお菓子のような「嗜好品」を食べるという意味だけでなく、食事だけでは補えない栄養素を摂るという役割もあります。たとえば、次の食事と7時間以上間があく、1食がしっかり食べられないときにおやつを取り入れることで、血糖値のコントロールや健康維持に役立ちます。
また腎臓の機能が低下している場合、たんぱく質の制限がかかるため、食事だけでは必要なエネルギーが確保できないことが多いです。腎機能が低下している方は特に合間におやつを取り入れられるとよいですね。どちらにせよ、おやつを摂るときは「栄養価の高いもの」を選ぶことが重要です。
■関連記事:糖尿病でもおやつが食べたい!管理栄養士推奨のおやつとレシピを紹介
こちらの記事でも糖尿病の方のおやつ全般について選び方やレシピを紹介しています。ぜひご覧ください。
さつまいもは糖尿病でも食べてよい?

さつまいもはおやつに適しています。なぜならさつまいもは食物繊維が多く、血圧対策に役立つカリウム、インスリンの働きを助けるマグネシウムも豊富だからです。さつまいもの糖質が気になる方もいますが、さつまいもに含まれる糖質はでんぷんが主体です。そのため、お菓子よりも消化・吸収がゆっくりで、血糖値の上昇はおだやかになりやすいとされています。とはいえ、量を摂り過ぎると血糖値は上昇しやすいですし、最近は糖度の高い品種が出回ることが多いため、量と食べ方が重要です。
また、腎機能の低下により、カリウム制限がある場合にさつまいもを摂ることでカリウムの過剰摂取につながるおそれがあります(1本あたり960mg)。そのため、医師の確認のうえ摂るかどうか判断してくださいね。もし食べる場合は少量にとどめ、輪切りにしてゆでこぼしをするなど、極力カリウムを減らした状態で食べてくださいね。
糖尿病におすすめのさつまいもの選び方

さつまいもとひとくちに言ってもさまざまな品種があります。また、せっかく食べるならばおいしいものを食べたいですよね。そこで、おいしいさつまいもの選び方と糖尿病の方におすすめの品種を紹介します。
良いさつまいもの選び方
さつまいもを栄養価高く、おいしく食べるには良いさつまいもを選ぶことが大切です。以下をポイントに選ぶと、おいしいさつまいもに出会えるでしょう。
<おいしいさつまいものポイント>
・皮の色が均一である
・つやがある
・表面に傷や斑点がない
・ふっくらしている
・ひげがやわらかい
糖尿病の方におすすめのさつまいも品種
さつまいもの糖質は種類によって異なり、一般的に糖度が1度上がるごとに糖質が1g増えるとされています。また、ほくほくとした食感のもののほうが、ねっとりとした食感のものよりも糖質はおさえられます。そのため、糖尿病の方はほくほくした食感の品種を選べるとよいでしょう。代表的な品種ごとの特徴は以下です。購入時に意識してみてくださいね。
【ほくほく系】
紅あづま | 甘さと食感のバランスが良い。 |
鳴門金時 | 黄金のような黄色い中身で、栗のようなほくほく食感。甘さは少し強め。 |
パープルスイートロード | 皮も中も赤紫なのが特徴。甘さもあっさりしている。 |
【ねっとり系】
紅はるか | 濃い黄色い実で蜜が多く、クリーミーで濃厚な甘さがある。 |
安納芋 | かなりねっとりしており、甘さも濃いが紅はるかよりは糖度は低めである。 |
シルクスイート | 絹のようになめらかな食感。上品な甘さが特徴である。 |
もう迷わない!さつまいもの食べ方ポイント
さつまいもの選び方はわかりましたね。しかし、どう食べると血糖値の上昇を極力おさえやすいのでしょうか。ここではさつまいもを食べるときのポイントを解説します。
1回の目安は70g程度(中1/2本)
日本糖尿病学会の「糖尿病食事療法のための食品交換表(第7版)」によると、さつまいも中1/2本でごはん茶碗1/3杯(50g)と同じカロリー※(80kcal、1単位)です。3食しっかり必要な量の炭水化物を食べている場合は、食べたさつまいも分の量を減らして調整できると安心ですよ。
※本来はエネルギーですが、便宜上「カロリー」表記としています。
皮と一緒に食べる
さつまいもの皮には食物繊維が豊富です。食物繊維は血糖値の上昇を穏やかにするだけでなく整腸作用も期待できます。そのため、できるだけ皮つきで食べましょう。
※参考:さつまいもの皮あり・なしでの食物繊維量の比較
さつまいもの状態 | 食物繊維量 |
さつまいも(皮つき)蒸し | 3.8g |
さつまいも(皮なし)蒸し | 2.8g |
調理法は「蒸す」
蒸すことで余分なあぶらや調味料を使わずに済みます。レンジでも簡単にできるのも嬉しいポイントです。また、さつまいもの調理方法のなかで一番GIが低いとされているのが蒸す方法です。
しかし、スーパーでは焼きいもの状態で売っていることが多く、手軽に食べるなら焼きいも、という方も多いのではないでしょうか。実は焼きいもは蒸すよりも血糖値の上昇が起きやすいとされています。
そのため、焼きいもを食べるときはよく噛むことを意識してみてください。よく噛むことで血糖値の上昇を抑えやすいとされているからです。また、一度冷やすこともおすすめ。冷やすことでさつまいものでんぷんがレジスタントスターチ(難消化性でんぷん)に変わり、血糖値の上昇をおさえる作用が期待できるのです。時間に余裕がある場合は一度冷やすことも試してみてくださいね。
食べるタイミングは日中や夕食前
BMAL-1(ビーマルワン)という脂肪の蓄積を促す物質があります。この物質が活性化しにくい時間帯が日中です。そのため、焼きいもを食べるときは15時までに食べるとよいでしょう。また、昼食と夕食との間が6時間以上開く場合、食後の血糖値の上昇が大きくなるおそれがあるため、夕食に捕食として食べることもおすすめです。このとき、食べた量に応じて夕食の炭水化物の量は調整してくださいね。
よく噛んで食べる
さつまいもの種類や調理法、タイミングを考えるだけでなく食べ方も非常に大事です。よく噛んで食べることで満足感を感じやすいだけでなく、血糖値の上昇がおだやかになることもわかっています。今すぐできる方法なので、食べ方も合わせて試してください。
簡単さつまいもおやつ3選

さつまいもの適量や注意するポイントについて解説してきました。最後におすすめのさつまいものおやつを紹介します。気分や状況に応じて活用してくださいね。
ふかし芋
さつまいもをふかすだけで、皮ごと食べやすくなるため、血糖値の上昇が気になる方におすすめです。電子レンジでも簡単に作れます。
<作り方>
1. 水に濡らしたペ ーパータオルをさつまいも全体にかぶせる
2. ラップでふわっとつつむ
3. 500Wの電子レンジで5~8分程度加熱する
4. 竹串で容易に刺せるまで加熱すれば完成
※ペーパータオルは必ず水で濡らし、加熱しすぎないように注意してください。
干し芋
コンビニやスーパーでも手軽に手に入りやすく、長期保存もしやすいのも嬉しいポイント。噛み応えもあるため、満足感も高まります。カリウムや食物繊維も豊富ですので、栄養価の高いおやつです。しかし、食べ過ぎると糖質の摂り過ぎにつながるので2~3本程度にしましょう。また、腎機能の低下がありカリウム制限のある方はカリウムの摂り過ぎにつながるおそれがあるため、避けた方が安心です。
さつまいも+ヨーグルト
さつまいもにはたんぱく質がほぼありません。そのため、ヨーグルトと合わせることでたんぱく質の補強がかないます。また、ヨーグルトには善玉菌、さつまいもには善玉菌のエサとなる食物繊維があるため、腸内環境の改善に役立つでしょう。炭水化物の調整のためにもヨーグルトは砂糖のないプレーンタイプを選ぶようにしてくださいね。また、干し芋とヨーグルトを合わせて一晩つけこむと、干し芋が柔らかくなり、食べやすくなりますよ。
さつまいもは食べ方がカギを握る
糖尿病になったからといって、甘いものはNGではありません。我慢し続けるのではなく、体に優しい量や食べ方を意識してみてください。おやつを摂るときは、栄養価の高い食べ物を選ぶのがおすすめです。さつまいもは食物繊維やカリウムなど体に嬉しい栄養素が豊富のため、おやつに最適です。ただし、ほくほくした食感の品種を選び1/2本程度を目安に日中に食べるとよいでしょう。ぜひ今日からポイントを意識して、さつまいもを普段のおやつに取り入れてみてください。