外食での腎臓病向け食事ガイド 〜たんぱく質量を意識して腎臓の負担を減らす食べ方〜

腎臓病の方が外食で気をつけたい基本ポイント

腎臓病の食事療法では、たんぱく質や塩分、エネルギーなどの摂取量に配慮することが基本になります(注1)。 外食の料理は、家庭の食事に比べて量が多めで味付けも濃い傾向があります。そのため、栄養量が多くなりやすい点に気をつけたいところです。
外食が続くと、知らないうちにたんぱく質や塩分を多く摂ってしまうことがあります。取り入れる頻度やタイミングについても、日々の食事全体の中で考えていくことが大切です。
外食では、出された量をそのまま食べきるのではなく、料理の内容や量を見ながら調整することも意識しましょう。
腎臓病とたんぱく質の関係

たんぱく質は、筋肉や臓器、免疫機能を維持するために欠かせない栄養素です(注2)。一方で、腎機能が低下している場合には、たんぱく質の代謝によって生じる老廃物を処理する腎臓への負担を考え、摂取量に配慮した食事管理が必要になります(注1)
慢性腎臓病(CKD)では、進行の程度(ステージ)に応じて体重あたりのたんぱく質摂取量の目安が示されています(注1)。
CKDステージによる食事管理の違い
慢性腎臓病(CKD)では、腎機能の低下の程度(ステージ)によって食事管理の内容が異なります(注1)。
●ステージ1〜2(G1〜G2)では、たんぱく質の過剰な摂取を避けることが基本とされています。
●ステージ3a(G3a)では、体重あたりのたんぱく質量を0.8〜1.0g/kg/日を目安に調整することが示されています。
●ステージ3b〜5(G3b〜G5)では、腎臓への負担を考慮して0.6〜0.8g/kg/日を目安とした管理が行われます。
たとえば体重60kgの場合、0.6〜0.8g/kg/日を目安とすると、1日あたりのたんぱく質量は約36〜48gとなります。
具体的な摂取量は、検査値や体格、合併症の状況によって変わるため、医師や管理栄養士の指示を基準にします。
外食でよく使われる食品のたんぱく質量(目安)
外食では、肉や魚などの主菜だけで1食分のたんぱく質量に近づくこともあります。代表的な食品に含まれるたんぱく質量を知っておくと、外食時のメニュー選びの参考になります(注3)。
| 食品 | 目安量(可食部) | たんぱく質量 |
| 焼き鮭(切り身) | 約80g | 約23.3g |
| さば塩焼き | 約90g | 約22.7g |
| 鶏もも肉(焼き・ソテーなど) | 約100g | 約26.3g |
| 豚ロース(とんかつ用など) | 約100g | 約26.7g |
| 卵(Mサイズ) | 1個(約50g) | 約6.1g |
| 牛乳 | 200ml(約200g) | 約6.8g |
| 絹豆腐 | 1/4丁(約100g) | 約5.3g |
| 納豆 | 1パック(40g) | 約6.6g |
※文部科学省,「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」を参考に算出した概算値
※食品の種類や使用量は店舗や料理によって異なります。
塩分管理が腎臓を守る鍵になる

腎臓病では、たんぱく質と並んで塩分管理も重要です。
塩分を多く摂ると、体内のナトリウムを排出するために腎臓へ負担がかかります(注4)。また、血圧上昇を招き、腎機能の悪化につながる可能性もあります(注1,4)。
一般的に、腎臓病の方では1日の食塩摂取量を6g未満に抑えることが目標とされます(注1)。しかし外食では味付けや調味料の使用量が多くなりやすく、スープ類や丼もの、麺類のスープ、ドレッシングやソースなどから塩分を多く摂りやすい傾向があります。
ラーメンを例に挙げると、塩分の多くがスープに含まれています。スープを飲み干さずに残すことで、摂取する塩分量を抑えることにつながります。
減塩の具体的な方法については、下記の記事で詳しく解説しています。
■関連記事:減塩習慣を始めよう!塩分を控える理由と減塩のコツ
外食中にできる具体的な工夫

外食では、料理の選び方や量、食べ方を工夫することで調整しやすくなります。
丼ものや麺類は主菜と主食が一体になっており、量の調整がしにくい形式です。一方、定食は主菜と副菜が分かれているため、全体量を確認しながら調整しやすい特徴があります。
料理の選び方でたんぱく質量を調整する
外食では、料理の内容によってたんぱく質量が大きく変わることがあります。
たとえば、カツカレーのように肉が中心の料理よりも、コロッケカレーや野菜カレーを選ぶと、たんぱく質量を抑えやすくなります。
また、定食では主菜に加えて副菜が複数つくことがあります。豆腐や卵料理など、たんぱく質を含む小鉢が重なると、合計のたんぱく質量が増えやすくなります。
料理を選ぶときは、主菜だけでなく、副菜や小鉢の内容も含めて全体の組み合わせを見ることが大切です。
外食時の食べ方の工夫
外食では、次のような食べ方の工夫も役立ちます。
●肉や魚など主菜の量を意識し、必要に応じて小皿に取り分けて調整する
●レモンや香辛料で風味を加え、少ない量でも満足感を得やすくする
●腹八分目を心がけ、無理に食べきらない
●大盛りや追加注文は控える
栄養成分表示のある店舗では、エネルギーやたんぱく質、塩分量を確認します。食べきれない量がある場合は持ち帰りが可能か確認し、衛生面や店舗のルールに従います。
カリウム・リンの摂取量にも目を向ける
腎臓病の進行状況によっては、カリウムやリンの摂取量にも配慮が必要になります。
慢性腎臓病ではステージ4以降で、カリウム摂取量を1日1500mg以下を目安に抑えることが示されています(注1)。
カリウムは野菜や果物、いも類、海藻などに多く含まれます(注5)。外食では、サラダや果物、デザートなどが多くならないよう、量や組み合わせを意識します。
リンは肉や魚、卵、乳製品、加工食品に多く含まれます(注6)。腎機能が低下すると体内に蓄積しやすくなるため、摂取量の調整が必要になることがあります。加工肉やチーズを多く使ったメニューは重なりやすいため、内容を確認します。
肉や魚など、たんぱく質を多く含む食品にはリンも含まれることが多く、たんぱく質量を適正に保つことが、リン摂取量を抑えることにもつながります(注1)。
外食前後の食事で整える方法
外食は1食だけで考えるのではなく、前後の食事と合わせて1日単位、場合によっては数日単位で調整していくことも大切です。
夜に会食の予定がある場合は、朝や昼の食事でたんぱく質や塩分を控えめにするなど、外食の前後で食事全体のバランスを考えます。
例
・取り皿に分けて量を調整する
・主食は必要に応じて低たんぱくごはんを取り入れる
・麺類や汁物では、スープを飲み干さないようにする
・ドレッシングやソースはかけすぎないようにする
宅配食を上手に活用するという選択肢
外食の前後や調整が難しい日に、栄養成分が管理された宅配食を活用する方法もあります。
たとえば、武蔵野フーズの「健康美膳 たんぱく調整食セット」は、1食あたりエネルギー300kcal、たんぱく質10g以下、カリウム500mg以下、食塩相当量約2gに設計されています。数値が明確なため、1日の配分を考える際の目安にしやすい点が特徴です。
冷凍タイプのおかずセットで、必要なときに温めて利用できます。外食と組み合わせながら、全体のバランスを整える選択肢の一つになります。
【まとめ】外食と上手に付き合うために
腎臓病がある場合でも、ちょっとした工夫で外食を取り入れやすくなります。料理の量や内容を確認しながら、たんぱく質や塩分の摂り過ぎに気を配ることがポイントです。
定食のように主菜と副菜が分かれた料理を選んだり、麺類や汁物ではスープを飲み干さないようにしたりするなど、無理のない工夫を取り入れてみましょう。
外食は1食だけで考えるのではなく、前後の食事と合わせて全体のバランスを整えることも役立ちます。体調や検査値に合わせて、自分に合った食事の取り方を考えることが大切です。



